【箱根駅伝2026】國學院大に出現した次の「山の神」候補 1年生・髙石樹の快走と強心臓「4年目には黒田(朝日)さんを超えたい」 (3ページ目)
【前田監督が抱く「いい出会い」からのさらなる期待】
うれしそうな笑みを浮かべたのは、本人だけではない。山上りの適性を見抜き、5区に抜擢した前田監督も顔をほころばせた。ついに待ち人来る――。大会前から山上り候補について聞かれると、「いい出会いがありまして」と秘密兵器の存在を口にした。具体的に髙石の名前は挙げなかったものの、有力な下級生がいることは明かしていた。
「青学大の原(晋)さんと僕の考え方は似ていて、山上りの選手はつくるのではなく、出会い。今回、原さんから『いい出会いがありましたね』と言われまして」
前田監督はその先も見据えて起用しており、2年目にはさらに期待を寄せる。次に髙石に狙わせるのは69分切りだ。
「68分台は相当な領域。チャレンジする権利があるのは、1年目にある程度、上った選手です」
当の本人はクライマーの素質をあまり自覚していない。高校時代から上りを意識したこともなく、得意という認識もなかった。國學院に入り、山の適性を見いだされたが、長い上り坂の練習では苦労を重ねた。
「最初はきつくて、地獄のようでした。うまく上れたというよりも、粘れた感じですかね」
駅伝シーズンは出雲駅伝、全日本大学駅伝は出走することもなく、11月中旬のハーフマラソン、10000mのレースなども回避。静かに準備を重ねて、本番の1月2日に秘めていた力を存分に発揮した。猛者が集う箱根の山で得た自信と手応えは十分。2区の希望は持ちつつも、再び山に挑む覚悟はある。
「前田監督から『5区で』と言われれば、もちろん、走ります。『山の神』は5代目? 6代目になるんですかね? どちらにしてもなりたい。4年目には黒田さんを超えます、いや、絶対に超えますので」
負けん気の強い19歳の言葉には力がこもっていた。閉会式後、大手町の雑踏を抜けていく159cmの小さな背中がたくましく見えた。
著者プロフィール
杉園昌之 (すぎぞの・まさゆき)
1977年生まれ。スポーツ総合出版社の編集兼記者、通信社の記者として働いた後、フリーランスのスポーツライター兼編集者へ。現在はサッカー、ボクシング、陸上競技、野球、五輪競技全般とジャンルを問わずに取材している。
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