【大学駅伝】箱根駅伝2区でのリベンジ誓う大東大・棟方一楽が高温多湿下のレースで見せた強さと自信 (3ページ目)
【箱根駅伝2区の悔しさが原動力に】
今年3年生の棟方は、大東大に入学し、めきめきと力をつけた選手だ。高校時代は5000mで15分を切るのがやっとだったが、大学1年目に14分15秒10まで伸ばすと、10000mでは28分台をマーク。箱根駅伝は出場こそ叶わなかったものの、16人のエントリーメンバーに名前を連ねた。
大学2年になると、さらなる飛躍を遂げる。昨年11月の上尾シティハーフマラソンで三浦龍司(現SUBARU)が持っていたU 20日本最高記録を塗り替えて、1時間01分38秒の新記録をマーク。一躍注目される存在となった。そして、箱根駅伝ではエース区間の2区を任された。
しかし、その晴れ舞台で思わぬ悔しさを味わう。他校のエース格に太刀打ちできず、区間17位に終わった。チームも勢いに乗れず、総合19位に終わった。
その悔しさを胸に刻み、今シーズンを送っている。
「箱根で味わった悔しさはとてつもなく大きくて、それが大きな自分の原動力、反骨心を生んで、今、頑張れているのかなと思います」
箱根駅伝に出場するには、まずは予選会を突破しなければならないが、今季は全日本大学駅伝関東地区選考会も2位で通過しており、前半戦から大東大は好調だ。
この網走記録会では、棟方のほかに入濵輝大(4年)、中澤真大(2年)もきっちり28分台でまとめた。大濱逞真(2年)が3日前に風邪をひいて欠場したものの、今季はこの4人が強力な4本柱を形成している。
エース争いも熾烈を極めそうなものだが、棟方は箱根2区の座を誰にも渡すつもりはない。
「今年のチームスローガンが『あの場所でやり返す』というものなので、エース区間でリベンジできるように、日々鍛錬していきたいと思います」と箱根路での雪辱を期している。
「大物感はあるんですけど、まだ"大物感"なんで、大物にはなってない。もっと爆発的に成長するのはこの先だと思います」
真名子監督は、棟方をこう評する。その言葉どおりなら、ひと夏を越えてさらに大化けした姿を見せてくれそうだ。
著者プロフィール
和田悟志 (わだ・さとし)
1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。
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