【大学駅伝】箱根駅伝2区でのリベンジ誓う大東大・棟方一楽が高温多湿下のレースで見せた強さと自信 (2ページ目)
【外国籍勢も抜き去り地力アップで自信に】
だが、蒸し暑さに験(げん)を担いでいたとはいえ、日が暮れても19時の時点で気温26.8℃、湿度62%というコンディションは、記録を狙うには悪過ぎた。
棟方は序盤からペースメーカーのマイケル・テモイ・キプランガット(GMOインターネットグループ)やソロモン・ムトゥク(創価大2年)のすぐ後ろでレースを進めたが、入りの1000mが2分51秒、2000mが5分41秒、3000mは8分34秒と、27分台を狙えるペースでは進まなかった。5000mの通過は14分16秒。この時点で27分台は難しい状況といえた。
中間点を過ぎて、少しペースが上がると、ひとり、またひとりと先頭集団からこぼれ落ちていった。こんなサバイバルレースに棟方は耐えた。そして、6000m過ぎには、ペースメーカーのキプランガットを含め、棟方とムトゥクの3人が先頭争いに残った。
棟方の強さが光ったのは終盤の走りだ。
残り600mでムトゥクを抜いて事実上のトップに躍り出ると、残り300mではペースメーカーのキプランガットをも抜き去り、最後は突き放して1着でフィニッシュした。
ラスト1000mは約2分40秒、特にラスト1周(400m)は58〜59秒でカバーした。
「以前は400mを1本でも60秒を切れなかったのに......。ああいうラストスパートが出てきたのは、"勝てる選手にならなきゃいけない"っていう自覚からだと思う」と、真名子監督をも驚かせた棟方の新たな一面だった。
記録も、27分台はならなかったものの、昨年のこの大会でマークした自己記録(28分32秒36)を約13秒も更新し、28分19秒82の自己ベストを打ち立てた。
「あいにくのコンディションでタイムは出なかったですけど、組1着っていう目標は達成できた。自分的には90点ぐらいはあげたい」
走り終えた直後でも、疲労の色を見せることなく、軽快な口調で棟方はこう話した。
「今日のレースを終えて、自分がやってきたことはやっぱり間違っていなかったという自信を持てた。今後もそれを継続していくだけ」と、自信を深めたレースになった。
「あんな平然と走るなら、もっと走れ! と思いますけど(笑)」とは真名子監督。
「顔色が変わらず、今日は走っていたので。逆に、今日(コンディションに)すごい恵まれて記録が出るよりも"涼しくなったら絶対出るよね"っていう、プラスアルファを残せて終われたのがよかったですね」
この選手に、この師あり。レースに臨む選手がポジティブなら、指揮官も前向きにその結果を受け止めていた。
「本当は出したかったですけど、(27分台は)絶対にいけると思います。タフさ、強さがついてきたのが、今日のレースで実感できたのでよかったです」
真名子監督は、棟方の走りを高く評価していた。
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