【全日本大学駅伝】中央大は高い総合力で上位勢と渡り合える カギは箱根予選会からのリカバリー (2ページ目)

  • 生島 淳●取材・文 text by Ikushima Jun

【箱根予選会からのリカバリー具合がカギに】

 出雲駅伝が終わった後、青山学院大の原晋監督が「今年の中大は面白いんじゃないの?」と話すほど、中大の戦力は整っていると見られている。藤原監督自身は、どう感じているのか。10月19日に行なわれた箱根駅伝予選会のあと、監督は全日本に向けてのプランをこう話した。

「去年が4位でしたから、今年はそれ以上、表彰台は目指したいところです。ただ、故障者の復帰と、この予選会からのリカバリーがどれくらい進むか、それを見極めて戦略を練りたいと思います」

 予選会は10月中旬だというのに、東京は真夏日となって、選手たちにとっては過酷なレースとなった。中大は予選会を6位で通過したが、選手に話を聞くと、レース後の2、3日はダメージが残っていたという。今年の全日本は、中大だけではなく、予選会に参加した学校にはそのハンディキャップがある。今年メキメキと頭角を現し、予選会チーム内トップ(総合17位)の白川陽大(3年)、1年生ながらチーム内2位(総合25位)の岡田開成がどれほどリカバリーできているか、藤原監督の見極めによって起用区間が決まってくるだろう(白川は5月の関東インカレでもハーフマラソンを走っており、区間距離の長い7区、8区が予想される)。

 そして気になるのが、予選会を故障で欠場した溜池、柴田の動向だ。箱根予選会の時点で藤原監督は、ふたりの状況をこう説明していた。

「柴田はジョギングを開始しているので、回復の状態としては早いと思います。溜池は回復を見極めながら判断していきたいですね。ただ、結果的に予選会では溜池、柴田のほかにも吉居(駿恭・3年)、浦田(優斗・4年)、故障明けの本間(颯・2年)の5人を温存できたことになるので、全日本では仕掛けていきたいと思っています」

 なかでも、吉居と本間については藤原監督が「かなり状態が上がっています」と話しており、他校のエースと互角の勝負を期待している。このふたりに加え、スピードのある岡田が主導権を争う前半区間に起用されるかもしれない。

「去年は出雲で6位、全日本で4位、箱根がシード権外でしたから、今年の全日本は選手たちがもう一度、駅伝の楽しさ、自信を取り戻すレースになればと思っています」

 不確定要素が払拭されれば、上位でレースを展開できるはず。果たして、戦力が整うのかどうか、中大のレースエントリーを待ちたい。

著者プロフィール

  • 生島 淳

    生島 淳 (いくしま・じゅん)

    スポーツジャーナリスト。1967年宮城県気仙沼市生まれ。早稲田大学卒業後、博報堂に入社。勤務しながら執筆を始め、1999年に独立。ラグビーW杯、五輪ともに7度の取材経験を誇る一方、歌舞伎、講談では神田伯山など、伝統芸能の原稿も手掛ける。最新刊に「箱根駅伝に魅せられて」(角川新書)。その他に「箱根駅伝ナイン・ストーリーズ」(文春文庫)、「エディー・ジョーンズとの対話 コーチングとは信じること」(文藝春秋)など。Xアカウント @meganedo

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