ドルーリー朱瑛里の夏はまだ終わらない 注目はアジア女王として挑むU20世界選手権 (2ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi

【高校記録を更新することはできるか】

 日本選手権の予選では、高校生とは思えない冷静さが光った。決勝に進出できる6番以内をキープすると、「7番と離れていたので」と自分の順位をしっかりと確認し、最後は余裕を持ってフィニッシュした。約2週間前にはインターハイ中国地区予選で800mと1500mの2種目を走っていたが、調子のよさを思わせた。

 一方、決勝はペースメーカーとともにハイペースを刻んだ田中にはついていかず、第2集団でレースを進めた。結局、シニア選手の壁を崩せなかったものの、7位に食い込み、存在感は示しただろう。

 このレースで田中は5連覇を果たし、パリ五輪出場も決めた。その田中について「速いペースで入っても押していけるっていうのは本当にすごい。尊敬する存在です」とドルーリーは口にする。田中との差をまざまざと見せつけられたことも、今後の成長への大きな糧となったはずだ。

 日本選手権のあとには、7月20日のホクレンディスタンスチャレンジ第5戦・千歳大会に出場した。「インターハイに向けての刺激、調整という形で1本走って、インターハイに向けていい形で臨みたい」というのが、この大会に出場した意図だ。

 ドルーリーは「インターハイで高校記録(4分7秒86)更新」を目標に掲げている。昨年度もホクレンDC千歳大会を経てインターハイに臨み、その舞台で1年生にして日本人トップの3位に入っている。

 そして記録も、田中が持っていた高1歴代最高記録を0秒05更新する4分15秒50の好記録をマークしている(日本人高校歴代6位でもある)。ドルーリーにとっては昨年と同じインターハイまでの流れだ。

 千歳大会でドルーリーは、序盤から積極的にレースに入った。ペースメーカーと留学生のナンバラ・サラムトニ(興譲館高1年・岡山)に果敢に食らいつき、自己記録をも狙えるペースを刻んだ。

 結局、ハイペースが影響したのか600mで離されると、ずるずると後退。力を出しきれず、4分30秒72と平凡なタイムで12着に終わった。インターハイに向けては課題を残したものの、蒸し暑さのなか無難なレースをするより、得られるものはあったのではないだろうか。

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