國學院大・青木瑠郁が学生ハーフで優勝→青学・太田、駒澤・佐藤にライバル心「来年の箱根駅伝では力負けしないように勝負したい」 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun

 青木が次期エースの自覚を持つようになったのは、もちろん1年時から箱根駅伝を走るなど同世代の中で抜けている存在でもあったからだが、エースの名を受けた先輩の姿を間近で見てきたことも大きい。國學院大のエースは先輩のエースから多くを学ぶ傾向にあり、平林は中西大翔(旭化成)から、青木は伊地知賢造(4年)から多くを学んだ。

「伊地知さんとは、この1年間、ずっと一緒にやってきたんです。趣味が合って、一緒に出掛けたりしましたし、練習ではよく自分を引っ張ってくれました。ほんとマンツーマンで一緒にいて、自分が一番深く関わった先輩だと思っています。伊地知さんに感謝の気持ちを伝えようと思って、このレースを走ったので優勝出来てホッとしましたし、少しはそういう気持ちを伝えられたのかなと思います」

 学生ハーフで、今シーズンはほぼ終了になる。

 青木にとって、2023-2024は、どういうシーズンだったのだろうか。

「自分たちの世代で言えば、全日本大学駅伝で僕ら1、2年生が3区から6区まで襷を繋ぐことができたのはすごく良かったですし、自分らの代はどの学年よりも一番まとまっているなと感じることができました。個人的には8月終わりぐらいから調子が良くなくて、故障したりして出雲は自分の出来としては30%ぐらい、全日本は70%ぐらいの出来でした。箱根では100%の力を発揮できるようにと思って走ったのですが、3区で太田蒼生(青学大)さん、佐藤圭汰(駒澤大)さんに力の差をまざまざと見せつけられてしまいました。この悔しさを忘れてはいけないですし、来年の箱根ではふたりに力負けしないように勝負していきたいなと思っています」

 負けず嫌いの表情が言葉の端々から感じされる。箱根で勝つために個人の力を上げていくためにもトラックシーズンでは結果を残していかなければならない。

「4月からのトラックシーズンは、10000mでは昨年、平林さんが出した27分55秒15というタイム、5000mでは13分30秒を切ることを目標にしています。5月の関東インカレでは、しっかりと結果を出して、力をつけて、来年の箱根駅伝に繋げていけたらと思っています」

 2年前、平林はこの学生ハーフで優勝してエースとして名乗りを上げ、現在の活躍に繋げていった。この学生ハーフの結果をはじめ青木のこれまでの実績とポテンシャル、さらにトラックシーズンで目標をクリアしていけば、箱根で力の差を見せつけられた太田や佐藤、さらに吉居駿恭(中大)ら大学生トップランナーの尻尾をしっかりと掴めるはずだ。

プロフィール

  • 佐藤 俊

    佐藤 俊 (さとう・しゅん)

    1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。

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