原晋監督のワクワク度、4月は0%も関東インカレを経て急上昇「駒澤大に勝つチャンスがあるのはうち」の根拠とは (2ページ目)

  • 小堀隆司●取材・文 text by Kohori Takashi
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 ただし、と続ける。

「去年のように2チーム作って誰もが走れるというほどの戦力はない。ただ、トップ10の選手で比較すればうちは今年も強いです」

 昨年の近藤幸太郎、岸本大紀に代わるエースとして、監督は2人の選手の名前を挙げた。1人は1年生の時から主力として活躍している佐藤一世(4年)、2人目が3年生の鶴川正也だ。「駅伝男」と称される佐藤と違い、鶴川にはまだ三大駅伝出場の経験がない。だが実力はうちのエース級と、監督はその潜在能力を高く評価する。

「関東インカレの結果を見てもらうと、持っている力は図抜けています。今回も2部5000mで日本人トップの3位に入ったけど、故障明けで1カ月程度しか練習していないからね。前回の箱根も本当は使う予定だったけど、夏合宿の初日に捻挫をしてダメになった。その二の舞さえ踏まなければ、佐藤、鶴川はともに世代トップの選手ですよ」

 5月の関東インカレでは他にも、2部3000m障害決勝で4年の小原響と2年の黒田朝日がワンツーフィニッシュを飾り、2部1500m決勝でも2年の宇田川瞬矢と4年の山内健登が優勝と準優勝を分けあった。ハーフマラソンや10000mで佐藤以外に入賞者が出なかったのは気がかりだが、「本来出るべき選手が出られなかっただけ」と監督は意に介さない。

「2月の丸亀ハーフでは若林(宏樹・3年)が1時間1分25秒のすばらしいタイムで走っているし、黒田は自己ベストを連発して調子がいい。他にも塩出(翔太・2年)、荒巻(朋熙・2年)、各学年に核となる選手が2、3人はいるからね。そこに前回の箱根で4区区間2位の太田(蒼生・3年)、8区5位の田中(悠登・3年)を加えると何人になりますか。けっこう戦力は揃っているんですよ」

 目先の結果だけにとらわれず、この4月には若手選手5人をアディダスが主催するドイツの国際大会「アディゼロ:ロード トゥ レコーズ 2023」に送り込んだ。太田以外の4人(荒巻、黒田、宇田川、皆渡星七)はまだ2年生で、世界のトップ選手と同じ舞台で走った経験が今後の糧になるのは間違いないだろう。

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