箱根駅伝で王座奪還を狙う駒澤大の現状。主力の3年生に不安、スーパールーキーも苦境 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文&写真 text & photo by Sato Shun

スーパールーキー佐藤圭汰は伸び悩む

 3年生は、厳しい状態だが、ルーキーの佐藤圭汰も少し迷いの淵にいる。ホクレン千歳大会では、1500mに出場し、序盤こそ中盤に位置し、期待を抱かせたが、後半はいつもの伸びがなく、3分44秒85の10位に沈んだ。

 レース後、佐藤は苦い表情を浮かべた。

「今日は、3分40秒ぐらいの感覚でいけたらと思っていたんですが、体を1500mのスピードに全然仕上げられなくて、キレもなかった。力不足を感じました」

 佐藤は、洛南高校時代に1500m、3000m、5000mの高校記録を塗り替え、大物ルーキーとして駒澤大に入学した。当初1500mを主戦場にしていたが、5000mでU20 の記録を更新(13分22秒91)し、1500mでのラストスパートでの力不足を考えて5000mで世界陸上を目指した。出場権を賭けた日本選手権は13分55秒08の17位に終わり、残念ながら世界には届かなかった。その後は5000mをメインにして、1500mはスピード練習の一環としてとらえていたが今回、内容的にもうひとつで目標タイムにも届かなかった。昨年のホクレン千歳大会では、3分37秒18を出していたが、さすがに失望の色は隠せず、レース後、ボソッとこう言った。

「今、ちょっと、どうしたらいいのかわからないです」

 佐藤は、調子が上がらない状態に苦笑いを浮かべた。

 だが、彼はレースで結果が出ない原因について分析できている。

「高校の時、ある程度、記録を出したので大学でも先輩たちに負けない気持ちで臨んできたのですが、それが逆に自分に縛りをかけているのかなと思います。大学に入って練習の質と量が一気に増えて、疲労が抜けない状態で練習を積んでいるので疲労がたまり、レースに合わせることができない。もうずっと動かない感じで練習もレースも続けている感じなので、結果につながらないんだと思います」

 本来は休養をとるべきだが、シーズン序盤は世界陸上の出場権をかけたレースなどがあり、「休むタイミングが難しかった」と言う。これで1年目のトラックシーズンが終わることになるが、何か手応えを得ることができたのだろうか。

「トラックシーズンは、5000mでいいタイムを出せましたけど、それだけで流れがあまりよくありませんでした。夏合宿前に帰省期間があるので、そこでしっかりと休んで、夏合宿で練習を積んでいきたいですね。レースが続いたので練習を積めず、タメができていなかったので、夏で作り直して秋では走れるようにしていきたいです」

 連戦で疲労度は、マックスだった。体を休め、気持ちをリフレッシュして、練習に取り組めば走りは戻ってくるだろう。ただ、秋は駅伝が待っている。周囲の期待は非常に大きい。箱根駅伝は20キロを越えるロングのレースになるが、距離の耐性についてはどう感じているのだろうか。

「距離は、まだ自信がないので、夏の練習で慣れていきたいです」

 佐藤にとってはリスタートながら距離を踏む厳しい夏になりそうだ。

 トラックシーズンだけの評価でいえば、駒澤大はまだ一部の選手しか力を出しきっていない。危機感は山野主将らの厳しい表情からもうかがい知れる。夏合宿のテーマは、この時点では決まっていないが、山野主将曰く「距離を踏んでスタミナをつけていく」内容になるという。駒澤大の伝統ともいえる距離を踏む練習で、どこまでチーム力を上げていけるだろうか。そして、3年生はいつ揃ってくるのだろうか──。

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