エース3人のハンパない爆発力で往路優勝も可能。箱根駅伝の台風の目は東京国際大になる (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by  SportsPressJP/アフロ

 そういう意味では2区でトップに立ったあとの丹所の仕事が極めて重要になる。「練習が継続的にできているので、非常に成長した」と大志田監督は語るが、今シーズンの丹所はエースらしい結果を残してきた。5000m、1万mともに自己ベストを更新し、全カレ5000m3位、出雲3区2位で優勝に貢献し、全日本6区区間新で区間賞を獲得、東国大に「丹所あり」というところを見せた。

「今シーズンは、ここまで90点をあげてもいいかなと思います。春から順調に結果を出してきて、あまり失敗せずに試合に臨めているのが大きいですね。自分はセンスがあるわけじゃないので、継続的に練習をして力を伸ばすタイプ。ケガしないのが大きいかなと思います」

 丹所は箱根駅伝に2度出場するなど、過去大学駅伝は5回経験しているが今の自分の成長につながった大会が前回の箱根だと言う。

「前回の箱根は、自信があるなかで臨んだ結果、1区14位という情けない結果に終わってしまって、そこでもっとがんばらないといけないと思えた大会になりました。その悔しさをバネに頑張った結果が今につながってきているんだと思います」

 丹所のよさは、淡々と同じペースでタフな走りを実現できるところだが、一番は練習の成果を試合でしっかりと発揮するところだ。100%の力を試合で発揮するのは簡単なことではなく、多くの選手が悩むのだが、丹所は大きなレースはほぼ外さない。

「前回の箱根の時、いい練習ができていたので、自分の力を100%出せれば目標の区間5位は狙えました。でも、14位に終わったので何が足りなかったのかというとピークに合わせることができなかったんです。そこで、今シーズンからは監督やコーチに言われたままの練習をするのではなく、自分の体と相談しながら疲れていると感じたら距離を少なくしたり、考えて練習するようにしました。そのおかげで大事な試合で100%の力を発揮できているんだと思います」

 監督にとって、試合で100%を発揮できる選手の存在ほど心強いことはない。

 丹所は駅伝を戦ううえで戦略的核になる存在だが、出雲が終わったあと、足底を痛めて2週間ほど休足の時間を過ごした。大志田監督は肝を冷やしたはずだが、バイクやプールで心肺機能を落とさずに練習した結果、逆に疲労がとれたのか、全日本で区間新を出す好走を見せた。

 そして、今回、3度目となる箱根は補欠登録だが、当日のメンバー変更で3区を走ることが予想される。

「2区のヴィンセントがトップで来ると思うので、自分で決めたペースを守って、日本人最高記録を目指して、チームを勢いづけられる走りができればと思っています」

 丹所は、いつもどおり淡々とマイペースで刻み、後続との差を広げていくだろう。

 ヴィセントという大エースをはさむ丹所と山谷の走りが、東京国際大の命運を握ることになる。ここでトップに立ち、キープできれば後続の選手も「いける」と自信を持って走れるだろう。昨年の創価大は、往路優勝を果たしたあと、多くが「復路は落ちる」と予想した。だが、その予想に反して、復路も一気に駆け抜けた。駅伝は「流れ」というが、それを体現したのが前回の創価大だった。東京国際大も1区山谷、2区ヴィンセント、3区丹所で完璧な流れを作ることができれば、往路優勝、総合3位はもちろん、それ以上の結果が見えてきそうだ。

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