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箱根駅伝で活躍が期待される注目の1年生は? 出雲で好走したルーキーをチェック (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 日刊スポーツ/アフロ

 その白井勇佑(1年)も出雲でデビューし、佐藤同様に快走を見せた。

「白井と駅伝デビューができてよかったです。白井は持ちタイムがよかったので負けたくはないですけど、一緒に強くなりたいですね。4年になった時は、ともに中心になってチームを引っ張っていけたらと思います」

 佐藤は、終始、笑顔でそう語った。

 白井は、エースの丹所がトップを奪ったなか、4区で襷を受け取った。

「丹所さんが1位になって、襷を受けたんですが重かったです。1位を守って走るんだという気持ちで走りましたが、不思議とプレッシャーはなくて、ワクワクして走ることができました。順位を守って、宗像(聖・3年)さんに襷を渡せたので自分の仕事は果たせたかなと思います」

 白井は仙台育英高時代、5000mで13分58秒00を出し、期待のルーキーとして入学。駅伝も強く、2年の時の都大路は2区区間賞、3年時は7区2位と外さない力を持つ。ただ、入学後のトラックシーズンは、関東インカレ、日本インカレともに5000mで結果を出せなかった。

「トラックシーズンは、いろいろ課題が見つかりました。自分は、自信を持ちすぎてしまうと調子に乗ってしまうので、謙虚に走るように心がけています。今回もその気持ちを忘れずに、いつもどおりを考えて走ったのですが、後半にペースが落ちてしまったので、今後はそれを修正して20キロ以上もしっかり走れるようにしたいです」

 白井も箱根駅伝を走ることを現実的な目標としてとらえている。

「箱根駅伝の希望区間はありません。走れれば、どこでもいいです。3大駅伝でしっかりと結果を残して、今後の自分の陸上人生にプラスになるような1年にしたいです」

 出雲駅伝では、これまで眠っていた超大物ルーキーが、その爆発的な力を見せてくれた。東洋大石田洸介(1年)だ。東京農大二高時代、5000mで当時の高校記録を更新し、13分34秒74まで伸ばした。東洋大に進学を決め、トラックシーズンでの活躍が期待されたが、故障などで調子が上がらなかった。6月、東京五輪出場権を賭けた日本選手権5000mに出場、大学デビュー戦に注目が集まったが途中棄権。ただ、その後は周囲の動きに惑わされず、自分のペースで調子を戻し、出雲駅伝の舞台に立った。

「駅伝を走れましたが正直、いろんな意味で出遅れています。夏合宿も練習ができていませんでしたし、スピードも足りない。長い距離に向けたスタミナもつけないといけない。距離に対する耐性がまだまだですので、今は課題だらけですね」

 それでも出雲では、堂々の駅伝デビューを飾った。

 6位で襷を受け取ると、徐々にスピードを上げ、気がつけば4人を抜き去って2位にチームを押し上げ、区間賞を獲得した。

「前を追う展開で、自分は失敗したことがないですし、苦手意識もありません。今回もしっかり前を追えましたし、すごく楽しかったですね。ただ、向かい風の影響を受けたので、向かい風にもブレないフィジカルと強いメンタルを身につける必要があると思いました」

 出雲駅伝の戦前は苦戦が予想されたが石田の踏ん張りで1区7位から最終順位は3位まで上がった。石田は自分の走りに手応えを感じ、箱根に向けても決意を新たにしている。

「チームは、箱根では総合優勝を目標にしています。それができるように1年生ですが臆せず、他の大学のエースに負けないような走りをしたいと思います」

 もともと能力が高く、相澤晃(現旭化成)のようなエースになれる逸材。石田の復活は、ひとりの選手以上の重みを持ち、東洋大に勢いと戦術的幅をもたせるだろう。

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