「歯科医か、ハードルか」110mH日本新の金井大旺が明かす進路選択 (2ページ目)

  • 宮部保範●取材・文 text by Miyabe Yasunori
  • photo by Sankei Visual

【中学時代と高校受験】 

── 函館の市立本通中学校に入学後、金井のハードルに対する熱はますます高まっていく。とはいえ、歯科医になることを意識していたからには、勉強もおろそかにできない。陸上と学業の両立が本格化したのも、この頃からだった。

金井:学校に陸上部もあったんですが、部員は2、3人で、ほとんど機能していなくて......(笑)。中学校入学後も、陸上は引き続き千代台陸上スクールに通っていました。

 ただ、入学当初は大会で決勝に進めなかったこともありました。中学生になると、(男子では)ハードルの高さがいきなり20cmくらい上がるんです。(背が低かったので)それになかなか対応できなくて。周りの人からは「背が伸びれば絶対勝てるよ」と言われていたんですが、早く勝ちたい気持ちが強かった。身長で勝てないなら、技術で上回るしかないと考えて、自分の技術を磨くことに集中しました。
 
 先人からヒントをもらおうと、一人で書店に行って、専門書を探しました。そのなかでいちばん分厚かった谷川聡さん(110mハードルの第一人者/現筑波大学准教授)の本に目が止まって。ハードリングの知識や理想的な動作が細かく書かれていて、買ってから何度も読み返しましたね。

 学校の成績は1番ではなかったですが、順位は一桁で争っていたと思います。地元の大手学習塾に通い、途中から個人経営の塾に代えました。学校から帰ったらすぐに競技場に行って、そこから塾に通うという習慣。お腹が空くので、(競技場から塾への)送り迎えの車中で、母が作ってくれたおにぎりを食べてました。

 歯科医になることを考えると、高校はラ・サール(函館ラ・サール学園)がいいかなと。受験生には函館市内だけでなく、道内全域、東北から受ける人もいたので倍率は高かったですが、なんとか一般受験で合格しました。僕の中学校は市内で一番生徒数が多く、同級生から5、6人がラ・サールに受かったと思います。

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