箱根駅伝で優勝候補・東海大の区間配置
を予想。4年の3本柱はどこを走るか

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

箱根駅伝2021 有力校戦力分析
東海大学編

 今シーズンの東海大は地力がある。"黄金世代"が卒業し、誰もが今年の戦力に不安を覚えたことだろう。だが、コロナ禍の影響で練習が満足にできなかったとは思えないほど、個々のレベルアップが目立った。

 その成果が表れたのが全日本大学駅伝だった。2区で17位に落ち込み、万事休すかと思われたが、3区の塩澤稀夕(4年)から猛烈な巻き返しを見せ、6区の長田駿佑(3年)で一時トップになるなど、驚異的な粘りを見せた。アンカー勝負で駒澤大に敗れ2位になったが、両角速監督も「まさかここまでうちに底力があったとは......」と驚きを隠せずにいた。

前回は3区を走った塩澤稀夕だが、今回は指揮官が重要区間と語る4区を任されそうだ前回は3区を走った塩澤稀夕だが、今回は指揮官が重要区間と語る4区を任されそうだ 本来ならば11月の上尾ハーフで箱根駅伝の選考を終えて千葉合宿に入るが、今年はレースが中止となり、チームはハーフをレース設定で走り込むなど、ロングに重点を置いた練習を積み重ね、そこから16名のエントリーメンバー発表となった。

 昨年、7区でチームを3位から2位に押し上げた松崎咲人(2年)、全日本大学駅伝でエントリーしていた喜早駿介(1年)が外れたのは痛いが、彼らの不在を補うだけのメンバーは揃っている。

 今年はスーパールーキーの吉居大和(中央大1年)が5000mでU−20の日本記録を更新し、日本選手権で田澤簾(駒澤大2年)が27分台を出すなど、全体のレベルもタイムも上がっている。前回以上に高速駅伝になることは明白で、とくに往路の序盤は各大学とも強く、スピードのある選手を置いてくる可能性が高い。ここで大幅に遅れると、苦しい駅伝を強いられることになる。

 両角監督は「前半から主導権を握るレースにする」と語っているように、各校のエースに対応できる選手の区間配置が重要になってくる。

 1区は集団走になるが、高速レースに対応できて、しかも競り合いになった時、「絶対に負けない」という気持ちの強さを出せる選手が必要になる。現状だと石原翔太郎(1年)が筆頭だろう。

 全日本大学駅伝では同部屋の西田壮志(4年)に「(1キロ)2分50秒で押せます」と豪語し、4区で区間新を出しているが、とにかくハートが強く、大舞台でも物怖じしない。スピードもあって、他大学で1区予定の三浦龍司(順天堂大)や吉居にも競り合える逸材で、好勝負が期待できる。

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