箱根駅伝2大会ぶり優勝へ。新戦力台頭で強い東海大が帰ってきた (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

 長田も本間と同じく、それまでの2年間は苦しんだ。ケガが多く、回復したとしても2、3カ月練習するとまた故障するという悪循環を繰り返した。継続的に練習することができず、伸び悩んだ。だが3年になって故障がなくなった。

「今年3月に骨密度の検査をして、自分の数値が一番低かったんです。そこからまず食事面を改良していきました。それまで寮の食事とか全部食べていなかったんですけど、とりあえず全部食べることにしようと。そういう小さなことから始めて続けていくと、体が変わってきました。ジョグの量が増えても走れるようになったんです」

 故障を怖がらずに練習できるようなると、スピードだけでなく粘りある走りが磨かれた。

「ようやく主力のみんなと一緒に練習ができて、夏合宿も練習の消化率は100%でした。全日本でここまで走れたのは、日々の練習が継続できたからだと思います」

 スピードに乗った走りでライバルを抜いていく様は、前々回の箱根で東海大の初優勝に貢献し、MVPに輝いた小松陽平(現・プレス工業)を彷彿とさせた。小松も「長田は絶対に走れる選手。すごく期待している」と在学中に目をかけていた。ようやくその才能が開花した感があり、箱根でも重要区間での起用が考えられる。

「箱根は20キロを速いペースでいかないといけないので、もう少しスタミナが必要ですし、往路を走るにはまだスピードが足りないので、自分は復路向きだと思います。箱根では復路の7区から10区のどこかで走れたらいいなと思っています」

 新戦力の台頭はチームに活気を生み、勢いをつける。故障者なく本番を迎えることができれば、"黄金世代"に頼った前々回の優勝とは異なり、各学年にエース級が揃った分厚い選手層を生かした戦いで勝利が見えてくるだろう。

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