全日本大学駅伝で見えた箱根への展望。底力を見せた3強に他大学はどう挑むか (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

 田澤は、走り出してすぐに東海大の名取燎太(4年)の後ろに付くと、「56分台を出したい」という気持ちを抑えて勝負に徹した。41秒先行していた青学大を8.8km付近でとらえると、トップグループを形成。10.6kmで青学大が遅れて東海大とのマッチレースになってからも田澤は落ち着いていた。昨年、この区間で青学大を逆転して優勝テープを切った経験を持つ名取に対しても、臆することなく最後は一気に仕掛けて突き放し、ゴールでは23秒差をつける圧巻の走りで、優勝を飾った。

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 一方、前回の箱根を走った4年生6人が抜けた東海大も、現在4年の塩澤稀夕、西田壮志、名取の三本柱を主要区間に置きながら、1年生2名と3年生2名の新戦力を起用した。1区の佐伯陽生(1年)は駒澤大に、10秒遅れるだけの7位と合格点の走りをしたが、昨年の出雲と全日本を走った経験のある市村朋樹(3年)が区間19位で順位も17位に落とす誤算の走りとなった。

 それでも、3区で三本柱のひとりの塩澤が区間2位の走りで流れを取り戻すと、4区では石原翔太郎(1年生)が、大幅な区間記録更新の走りで6位まで引き上げ、箱根で確実な戦力になる存在感を示した。そして6区では大学駅伝初挑戦の長田駿佑(3年)も区間新の走りで区間賞を取るすばらしい走りを見せた。

 結果的には8区で競り負けて2位だったが、大きな誤算をカバーして優勝争いに持ち込めた、総合力の高さは大きな強みになるだろう。

 8区吉田圭太(4年)の失速で4位となった青学大は、区間10位で滑り出して2区では13位。その後は5区で佐藤一世(1年)が区間新、区間賞の走りでトップの早稲田大に10秒差の2位まで順位を上げながらも、6区では6位に落としてしまう安定しない駅伝になった。それでも7区の神林勇太(4年)が区間賞の走りで、2位東海大に39秒差をつける1位まで持っていったことは、底力の確かさを見せつけるものだった。

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