箱根予選会へ立教大は戦う集団に。勢力図を塗り替えることができるか (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 上野監督の頭のなかでは、箱根予選会のエントリーメンバーはほぼ見えているようだ。ただ、3大駅伝など大会のエントリーメンバーを決める時、最後のひとりで悩むことが多い。悩むというのは、それだけ選手層が厚くなったという証でもある。

 早田光佑主務は、「うちも仲良し集団じゃなく、競争の意識が高まり、切磋琢磨するチームになってきました」と手応えを感じている。

 2次合宿の最終日、上野監督は箱根予選会の目標設定をどうするのか、全員で話し合って、よく考えるようにと選手たちに宿題を出した。ちなみに、昨年の予選会の成績は総合タイム11時間23分49秒で23位だった。

「最初の目標は15位以内、65分平均でした。昨年、うちで一番速かったのが斎藤の66分4秒なので、平均タイムを30秒以上速くするのはかなり上の目標です。じつは、これは1年生が入学する前、彼らに力があることを見越して上級生が立てたものでした。今回、夏合宿をこなしていくなか、1年生のトップはいいけど、中間層にもうひとつ厚みがないことがわかった。上級生は1年生が強いと思っていますが、僕は彼らのほうがタフだと思っていますし、現状は上級生に頼らざるをえない。そこで、現在の力を把握したうえで上級生と1年生が話し合って、あらためて目標設定したほうがいいと思ったんです」

 そこで出された新たな目標は、最低19位以内、平均タイムは65分台だった。

 上野監督は「現実的な目標だと思います。かなり厳しいレースになると思いますが、最低が19位なので、そこからひとつでも上を目指していくだけですね」と、冷静に語った。

 もうひとつ、上野監督には大事な仕事が残っている。

「箱根予選会を走る選手以外のメンバーのことですね。4年生を含めてみんな頑張って夏合宿を乗り越えてきたので、どんなレースでもいいので出場させてあげたい。同じ釜の飯を食べた仲間として、立教の駅伝チームとして、立教で陸上をやってよかったと思って卒業してほしいので」

 上野監督はそう言って優しい笑みを浮かべた。

 コロナ禍により多くのレース、記録会が中止、延期となり、開催されるにしても"3密"を避けるため出場する人数を制限しており、持ちタイムでの足切りが増え出場が難しくなっている。4年生をはじめ箱根予選会を走れない選手のために、上野監督はいくつかの記録会でなんとか出場枠をキープするつもりだ。

 チームの戦いは10月17日、箱根予選会まで続く。

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