2020.01.02

箱根連覇へ東海大の奇跡の一手は?
「8区小松でどれだけ詰められるか」

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

 5区の西田壮志(3年)も直前の状態はよくなかった。

「西田はレースが近づいて、体調を崩し、2日前にはアキレス腱を腫らしてしまって……。最後の詰めのところでしっかり練習できなかったので、そのあたりが不安要素としてありました。目標は(1時間)11分ちょうどくらいでしたが、そこには大きく届きませんでしたし、最後に抜いた相手にまた追いつかれて抜かれたり……本来の走りができなかったのがちょっと残念でしたね」

 そう言うと、両角監督は悔しそうな表情を見せた。

 レース前、両角監督が語っていた5区終了時点での逆転可能なタイム差は70秒。今回の3分22秒の差は、6区以降、全員がミスなく走り、トップ青学大のミスを待つしかないレベルだ。ただ幸いなことに、復路の区間オーダーに東海大はまだ3枚のカード(当日変更)が使える。黄金世代である4年生の館澤亨次、阪口竜平、松尾淳之介に、出雲駅伝、全日本大学駅伝で好走した市村朋樹(2年)らが出番を待っている。

「あと3人変更できる枠を残しているんですけど、エントリー選手も調子がいいので、3枚のカードを使うかどうかは、学校に戻って、今日の練習と照らし合わせてじっくり決めたいなと思います。仕切り直しは6区からになりますが、青学さんもうちも経験者を欠き、未知の部分はあるのですが、なんとか乗り切ってくれれば面白いかなと思います。とにかく、雪だるま式に青学さんに差をつけられないように、少しずつタイムを詰めていきたいと思います」

 両角監督は10区での逆転劇が理想のシナリオだと語っていた。今回のタイム差は、まさに10区での決戦になるのを予感させる。では10区の選手がスタートするまでに、トップとどれぐらいの差であれば奇跡の逆転劇は起こせるのか。

「相手にもよるのですが、1分ぐらいに詰めておいてくれれば、なんとか希望が持てるんじゃないかと思います。7〜9区、とくに8区の小松(陽平/4年)のところでどれだけ差を詰められるか。そのために経験者を置いている。まだわからないですよ。ドラマは最後に待っているかもしれないですからね」

 両角監督のこぼれた笑みは何を意味しているのか。切羽詰まって追い込まれたものか、それとも逆転の可能性を信じてのものなのか……。会見が終わって去る際、指揮官はもう一度こう言った。

「何が起こるかわからない」

 両角監督は、最高のドラマを信じている。

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