箱根連覇を目指す東海大に衝撃!あの優勝メンバーにいったい何が...? (5ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by MATSUO.K/AFLO SPORT,Sato Shun

 レースは、アキレス腱痛を悪化させるわけにはいかないので、無理はしなかった。1週間前に世田谷ハーフを走った館澤亨次(4年)と一緒に1キロ340秒のペース走の予定だった。だが館澤の調子がよく、3分30秒ペースで押していったので、關は「速いな」と感じながら走っていたという。じつは、關が練習を開始したのが、上尾ハーフのちょうど1週間前だった。

「走り始めなんで、めちゃきつかった」

 關はそう言って苦笑した。

「今日走れたのは最低レベルです。これから箱根の合宿に行きますけど、強い選手がたくさん出てきていますからね。今日も(松崎)咲人は十分に走れると思っていました。自分はこれから練習できるようになれば......1カ月半である程度戻せるというか、なんとか箱根に間に合うという感じですね」

 夏合宿をこなしているのでベースはある。ただ、アキレス腱痛を抱えながらどこまで状態を上げていくことができるのか。1カ月半あるとも言えるが、1カ月半しかないとも言える。

「現時点では『調子が......』と言える状態ではないので、いま自分が何%ぐらいとかも言えないです」

 正直、それが關の現在地だ。だが、このまま何もしないで終わらせるつもりは毛頭ない。

「いつも注目してもらっているのに期待に応えられていない。満足できない陸上人生だし、このまま終わのは絶対に嫌なので、練習をやり続けて、箱根を1回はちゃんと走りたいと思っています」

 前々回の箱根は、1区でエントリーされたが当日の変更で三上嵩斗(現・SGホールディングスグループ)の付き添いになった。そして今年1月の箱根は、鬼塚の付き添いだった。

「優勝メンバーに入りたかったなぁ」

 レース後、なんとも言えない表情で語った關の言葉が忘れられない。拙著『箱根奪取』にも書いたが、今回の箱根駅伝2連覇のカギを握るのは關だと思っている。彼が完全な状態で戻ってくれば、分厚い選手層が極限にまで膨らむ。黄金世代のシンボルが輝けば、チームはより勢いを増す。

 どんなチームにも別格の選手がいるように、東海大にとっても關の存在はただの一選手ではないのだ。

 故障に苦しみながらも、最後は「やっぱり關だな」と言われるぐらい、完全無欠の復活劇を最後の箱根で見せてほしいと思う。

  『箱根奪取 東海大・スピード世代 結実のとき』

【発売日】2019年10月4日

【発行】集英社

【定価】1,300円(本体)+税

【内容】2019年1月3日──。 往路2位から復路8区の大逆転劇で みごと箱根駅伝初優勝を飾った東海大学。 その“栄光”にいたる道程にあった苦難や葛藤、 当日のレース模様などを 監督、コーチ、選手たちの証言を交えて 鮮やかに描き出す。

そして、「黄金世代」と呼ばれて輝きを放ってきた 現4年生たちが迎える学生最後のシーズン。彼らはどのような決意で箱根連覇に挑むのか。 出雲・全日本も含む3冠獲得を目指し、東海大学の「黄金世代」が駅伝シーズンに向け、再び走り出す 。

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