神野大地が激白「僕はまだ五輪の切符を手にするレベルじゃなかった」 (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by AFLO

「僕は、デカい目標を掲げる陸上人生ではなかったんです。みんなよりも時間をかけて身近な目標をクリアしてきたタイプ。そう考えると、五輪への初めての挑戦でいけるタイプじゃない。中野さんにも『神野は1回目の挑戦でいけるほど強い選手じゃない。そういう選手もいるけど、神野はそういうタイプじゃない』と言われました。そうだなってあらためて思いましたね。僕が五輪に出られるようになるのは、五輪への挑戦を2回、3回続けてようやくかなぁって思っています」

 MGCが終わって2週間、神野はほとんどノーランで過ごした。レースのダメージもなく、翌日から練習できる状態だったが、あえて休んだ。

「自分のなかから湧き出てくる気持ちを信じるというか、それがどういうものなのかって思って。だから、とくに何もしなかったんです」

 MGCが終わったあとは、「MGCファイナルは、まだ考えられない」と語っていた。神野の自己ベストは2時間10分18秒だ。だが、MGCファイナル(3大会)で越えなければならない派遣設定タイムは2時間5分49秒と約4分半ものタイム差がある。7分台、8分台をコンスタントに出していれば一発逆転の可能性も考えられるが、マラソンで4分を縮めるのはゼロではないが限りなく低い。そのことを自覚しているからこそ慎重な発言に終始した。

 2週間という時間をかけて、神野は自分の気持ちと向き合った。

 MGCファイナルチャレンジに挑戦するのか。東京五輪以降、何を目標にしてやっていくのか。

「ざっくりですけど、自分のなかで決めました」

 神野は、すっきりした表情で、そう言った。はたして、その決断とは......

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