箱根予選会で立教大に強豪校の壁。それでも監督の強化策に成果はある (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 昨年の28位から23位に順位を5つ上げた。タイムも、昨年は11時間2436秒だったが、今年は暑さが厳しいなかで11時間2349秒と、47秒だがタイムも縮まった。この暑さがなければ、持ちタイムを1~2分縮めるのは十分に可能だったはずだ。斎藤は言う。

「走りはきついし、疲れるのは昨年と同じです(笑)でも、タイムが上がり、順位も上がった。走っていると、となりに神奈川大や中央大の選手が普通にいたし、(速さを)維持できるペースは上がっていると実感しました」

 その斎藤だが、昨年の予選会のタイムは6832秒だったが、今回はこの暑さのなかで2分28秒もタイムを縮めた。これらは上野監督が就任してから10カ月の強化が実を結んだ結果と言えるだろう。

 また早田主務は、立教大にエースとムードをつくれたことが大きいと言った。

「今回、斎藤が踏ん張って、立教と言えば『斎藤』という選手を確立できたことは大きいです。来年入ってくる選手は、斎藤がひとつの目標になるので、そのなかで斎藤が自覚を持ち、どれだけ走れるようになっていくのか楽しみです。あと、このレースに至るまで、4年生が練習を盛り上げてくれました。逆に4年生がきつくなると、下級生が盛り上げるというサイクルができていたんです。それを1年で確立できたのは大きいと思います」

 強い大学には普通にあることが、立教大にも生まれてきたということだ。もちろん、まだまだ足りない部分は多々ある。上野監督は言う。

「まだスタミナ不足、距離不足がある。今回は故障者が出るのが怖かったので距離を踏まなかったが、この12月から春にかけてスタミナづくりを始め、来年は距離を踏むのを怖がらずに攻めてみようかなと思います」

 来年は新しい寮が完成し、上野監督が勧誘した選手が入部してくるなど、チーム強化はさらに進行していくだろう。ただ、予選の上位校はこの暑さでも先頭集団に食い込む強い選手が、最低でもひとりはいる。そういう力のある選手をいかに育てていくか。チーム強化とともに、それは上野監督に課せられた大きな仕事になる。

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