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日本選手権1500m惨敗で決断。
東海大主将がもらした悲壮な覚悟 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Nakamura Hiroyuki

「今回、調子はよかったですし、レース展開がスローになると思って後方に待機していたんです。最後、いけるだろうと思って......ちょっと油断してしまった。決勝はこれじゃダメですね。やっぱり調子のいい時こそ、自分を見失わずに自分の走りをしないと。『館澤はまずいな』と思われているかもしれないですけど、それを決勝で覆したいですし、自分の持ち味を生かすレース展開を、もう一度肝に銘じて走りたいです」

 調子がよかっただけに最後のラストスパートで勝負できると踏んだのだろうが、その前にポジショニングで失敗した。だが、それは十分に修正できる。決勝は3連覇がかかるレースとなり、よりプレッシャーも増すだろう。そのことについて聞くと、館澤は「昨年までの優勝は運がよかったと思って、今年は王者としてではなく、挑戦者として挑みたいと思います」と淡々と話していた。

 飯澤をはじめ、周りの選手のレベルが上がり、優勝は簡単ではないことは館澤自身が一番理解している。だからこそ、3連覇を気にしないように振る舞っていた。

 果たして決勝は、館澤の予想を超えるハイペースになった。

 序盤こそ、前を走る松枝博輝(富士通)の背後に飯澤とともにつき、予選の反省を生かしたレース展開をしていた。

「ハイペースになるかなって予想していましたが、前の方にいれば、スローになっても対応できる。そう思って前につきました」

 突如、流れが変わったのはラスト2周になってからだ。

 後方から戸田雅稀(サンベルクス)が上がり、一気にスピードを上げた。そのスピードについていけたのは、松枝、荒井、的野遼MHPS)の3名だけ。館澤は彼らについていけず、10m、15m......と、どんどん離されていく。

「ちょっと対応できないぐらいのハイペースになったので、ついていけなくなってしまって......」

 予想外のハイペースに、館澤は面食らった。ラスト1周の鐘が鳴ってもその差は埋まらず、優勝は絶望的になった。

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