MGCまで3カ月。神野大地はケニアからベストな練習相手を呼びよせた (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 ニコラスは、とにかくランニングフォームが美しい。腰高でストライドが広く、リズミカルに、そして流れるように走る。要するに、無駄が一切ないのだ。中野トレーナーは、「ニコラスのリズムを学ぶように」と神野に話をしたという。

「だいぶ筋肉がついて、ニコラスと同じような歩幅で走れるような脚力はついてきているのですが、リズムが課題で......。彼と一緒に走ることで自然といいリズムを身につけていけば、今よりも楽に走れるようになる。そうすればレースの後半、余力があるのでもっとペースアップできると思うんです。

 そもそもマラソンが速い選手は、リズムがうまく取れているんですよ。ニコラスのフォームは100点満点だし、そのリズムを自分のモノにして、いいリズムで走れるようになりたいですね」

 いいリズムで楽に走れるようになる──神野の言う「いいリズム」とは、足が地面に着いた時、腕が前でもうしろでもなく、体の横にある状態のことだ。走っている時、選手は自分が最高のリズムで走っていると思いがちだが、現実は接地の時に腕が前やうしろにあったりすることが多い。それでも脚力のある選手は走れるが、正しいリズムを取って走るともっと楽に走れるのだ。それが後半の勝負どころで効いてくる。

「リズムのことだけを意識してしまうと、そこにエネルギーを使ってしまうので、ニコラスと一緒に走ることで自分の体に染み込ませるという感じです。ニコラスとは7月まで日本で一緒に練習しますし、8月のケニア合宿でも一緒なので、それまでに吸収できればと思っています」

 速く走るために、そしてMGCで勝つために、神野は肉体改造やフォーム矯正に取り組んでおり、その成果は走る姿からも見て取れる。お尻から太もも、ふくらはぎの筋肉が確実に大きくなっている。マラソンを走る足づくりは、極めて順調だ。

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