世界記録保持者は来月復活。日本の競歩は五輪金メダルに近づいている (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 高橋はラスト3.5kmで離されたものの、再び追いつくと「もう一度スパートされるとまずいので前に出てペースを落ち着かせ、自信を持っているラストスパートのワンチャンスにかけようと思った」と冷静にレースをコントロール。ラスト500mから仕掛けて、池田を1秒差で抑えると、1時間18分00秒で大会5連覇を決めた。

 2位になった池田は「ラスト3.5kmで勝負に行った時に離せればよかった。それができなかったのは課題です。最後は英輝さんのスパートに負けてしまいましたが、それなりに対応できたのはいい経験になりました。自分はレースの中で臨機応変に対応できるのが強みだと思っているので、今の日本の高いレベルでもしっかり歩けたことで、実力が上がっていることを証明できたと思う」と笑顔を見せた。

 また、3位になった山西は、悔しそうな表情でこうレースを振り返った。

「ある程度のペースで押して行ける自信はついたのですが、脚が限界に近い状態で、もう一段階ペースを上げるイメージが不足している。アジア大会のラストもそうでしたが、今はまだ勝ちパターンがないのでそこをどうするかが課題」

 今村文男陸連五輪強化コーチは、国際大会と同じような基準で開催されたなかで結果を残したことをこう評価する。

「ジャッジは、世界の基準の動きやイレギュラーなものに対して警告カードを出しますが、そういうなかでいい記録を出せたことは、次の国際大会で活躍できるということだと思う」

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