駒大が予選で見せた強さの片鱗。箱根の優勝争いに加わる可能性は高い (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Nakanishi Yusuke/AFLO SPORT

 また、かつての名ランナーだった藤田敦史コーチも「チーム作りということではあまり変わってはいないですが、夏合宿で少し変化が出てきた」と言い、こう続ける。

「予選会を戦うには、夏合宿がひとつのキーポイントになるので、それが始まる段階で選手たちに話したのは、各選手に力の差や状態の差はあっても、チームとして『今年は予選会があるぞ』という意識を持てということでした。

 そのためにも1日にひとつは『今日はここを頑張った』と思えるものを持てるようにして3週間の合宿をやろうと話しました。それが3週間分貯まったら、お前たちは間違いなくひと回り成長できているから、強い、弱いは関係なく全員がそういう気持ちを持ってやろうと話しました。そうすると選手それぞれを見ていても、自分で考えてやろうとする者も多く出てきて、チームとして少しよくなったと思います」

 チームの中では片西がエースの立場だが、駅伝ではまだ他大学のトップ選手を圧倒するほどの結果は出していない。

「エース不在みたいなものじゃないですか。その中から『自分がやらなければいけない』と思う選手が多く出てきたので、平均タイム1時間03分00秒という結果につながったのだと思います。片西も今回は『塩尻くんに負けて悔しい』と言っていたように、もう一段上に行きたいという気持ちも出てきている。彼がそうなったときには、チームもまたもう一段上のレベルで機能していくのかなと思います」(藤田)

 今年は、各大学を見てもこれまでのような突出したエースはいない状況だ。日本人では1万m27分47秒87の記録を持つ塩尻が頭一つ抜けているくらいだろう。そんな状態だからこそ、今回の駒大が11番目の選手まで1時間03分30秒以内でゴールしたという総合力は侮れない。

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