大迫傑が分析する成功の秘訣と「オレゴン・プロジェクト」加入の成果 (2ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato

 ピート・ジュリアンコーチによると、大迫がオレゴン・プロジェクトに加入した当初は、モハメド・ファラーやゲーレン・ラップと一緒に練習することに苦労していたという。しかし、今は違う。ジュリアンコーチが「モーやゲーレンと勝負することを目指しています」と話すほど成長している。今回のシカゴでも優勝したファラーと終盤まで競り合い、ラップには先着した。大迫はオレゴン・プロジェクトでの進化をどのように感じているのだろうか。

「ファラーやゲーレンがなぜ強いのか。その理由が明確にわかる環境にいることが僕の強みだと思っています。『こんなにすごい練習をしているんだ』と、当初はショックを受けたんですけど、現実を突きつけられて、自分もやらなきゃいけないという気持ちになりました。ただ、急にステップアップはできないので、まずは100%やって、その後は100%の基準を少しずつ上げていく。焦らずに、確実に成長することができていると思います。

 あとは、自分はできるんだというポジティブな気持ちを持ち続けることも大切です。ネガティブな気持ちになると、やらない理由を探してしまう。それを排除していくと、やらなきゃいけないことが明確になり、無心で物事に取り組めるようになってくると感じています」

 オレゴン・プロジェクトの最先端トレーニングに加えて、大迫はナイキの厚底シューズ、「ズーム ヴェイパーフライ 4%」と出会ったこともマラソンの快進撃につながっている。

「最初に履いたときは、今まで薄底シューズを履いてきたので戸惑いがあったというか、『こんなに厚くて走れるのかな』という疑問があったんです。でも、履いてみると、地面からの反発をすごく感じますし、クッション性があるので、脚を終盤までセーブできる感覚もある。これからも履いていきたいと思えるシューズです。しかも新モデルはアッパー(足の甲を覆う靴の素材)がフライニットになり、フィット感が高まりました。シューズの中で足が動かなくなったので、マメ防止にもつながっています」

 今回のシカゴはペースが安定せず、終盤は向かい風に苦しめられた。決して、最高のレース条件ではなかった。もっと条件に恵まれれば、さらなるタイム短縮は可能だっただろう。次は東京マラソン(2019年3月)の出場を考えているというが、2時間4分台を期待してもいのだろうか。

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