「出雲駅伝プロジェクト」で勝利。2年ぶり王者奪還の青学大に隙なし

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

 青学大が2年ぶりに出雲の王座を奪還した。

 1区の橋詰大彗(たいせい/4年)がトップで2区の鈴木塁人(たかと/3年)に襷(たすき)をつなぐと、そのまま一度も首位の座を明け渡すことなく駆け抜ける完全勝利だった。

2年ぶり4度目の出雲駅伝優勝を果たした青山学院大の選手たち2年ぶり4度目の出雲駅伝優勝を果たした青山学院大の選手たち「3冠に向けていいスタートが切れた。よろしく大作戦、成功じゃないでしょうか」

 原晋監督は、満面の笑みを浮かべてそう言った。

「出雲駅伝プロジェクト」――。

 今シーズン、2年ぶりの3冠を達成するために原監督が考えたのが、出雲を勝つためのスペシャリスト集団をつくることだった。その"出雲限定"ともいえるチームに名乗りを上げたのが橋詰であり、吉田圭太(2年)であり、生方敦也(うぶかた・あつや/3年)だった。

 橋詰は昨年、出雲駅伝でアンカーとして走ったが区間6位に終わり、優勝した東海大に1分33秒差をつけられた。その悔しさから涙が止まらなかった。その後は故障などもあり、全日本、箱根駅伝を走れなかった。

 最上級生になった今シーズンは「1年通してチームに貢献する」という目標を掲げ、今年はよりスピードに磨きをかけた。7月ホクレンディスタンスチャレンジ2018北見大会の5000mで13分37秒75という青学記録を打ち出すなど、スピード強化が結果として表れた。

 生方は、関東インカレ(2部)の1500mに出場し、3分50秒76で優勝。スピードにさらに自信を持つことができた。原監督にとって出雲の5区が唯一の悩みだったが、その椅子を勝ち取るために生方は9月末の5000mの学院内レースでトップを獲った。出雲を走りたいという気持ちの強さを感じたと原監督は生方の気持ちに応え、5区に置いた。

 吉田も今年、スピードを磨いてきた。全日本インカレでは5000mに出場し、日本人トップ争いを東海大の西川雄一朗(3年)と演じた。ラスト勝負に勝ち、日本人トップ、総合でも3位に入賞した。最後に相手を差した走り、そして今後のために経験させるという意味も含めて吉田に4区を任せた。箱根で勝つためには現有戦力だけではなく、常に新しい風が必要だからだ。原監督は「4区の吉田がキーになる」と、あえて名を上げて期待を込めた。

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