山縣、桐生がギアアップ。日本短距離勢が早くも「メダル級」の記録 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 一方、中盤から競り負けて10秒17の4位に終わった桐生も表情は明るい。

「まだ100mは2レース目で、自分の100mの走り方もよくわからないところもありますが、先週の上海ではスタートがまあまあできて40mくらいまでよかった。今回は、加速でギアを3速から急に5速に上げてはいけないというのがテーマで、60~70mくらいまでを意識しましたが、そこがうまく走れれば後半もいけると思いました。

 ただ、今はまだ60mまでの練習しかしていないので、『ここからどうするんだ』という感じなんです。もちろん1番じゃなかったのは悔しいけれど、この1週間でスピードの感じがやっとわかってきたので、また次に生かせるんじゃないかと思います」

 桐生は、土江裕寛コーチとギアを1段ずつ上げながら加速していくという取り組みをやっている段階だ。

「でも今は、自分の中でもまだまだ動きにキレがない感じなので......。これからの練習や試合でキレが出てくれば、今やっていることも1段階も2段階もよくなると思うし、同じことをやっていてもタイムが出てくるんじゃないかと思います」

 これまでのように3月や4月からトップギアに上げるのではなく、夏へ向けて徐々に上げていきたいという。桐生は「やっぱりイライラする部分もありますよ。もっとトップスピードを出したいとか。まあそれも大事にしたいのもあるけど、落ち込むほどの結果ではないので。体重もまだベストの時より1kgくらい多いし、これからキレを出していけばいいかなと思っています」と、現状を受け止めていた。

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