なぜ神野大地の「おなか」は痛くなるのか。8分台を阻む原因を調べる

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

神野プロジェクト Road to 2020(15)
東京マラソン・後編

(前編の記事はこちら>>)

東京マラソン後、質が上がったトレーニングを淡々とこなす神野東京マラソン後、質が上がったトレーニングを淡々とこなす神野 今年2月に行なわれた東京マラソンの32km付近で、神野大地のお腹の中央部に差し込みが起きた。差し込みというのは、腹中央部付近に起こるキリキリとした痛みで、周期的に反復するものだ。

 しかし、この時の神野はまだ冷静だった。昨年12月の福岡国際マラソンでも16km付近で差し込みが起きたが、19kmでフッと消えたからだ。今回も2、3km走って消えてくれれば、そこから再度ペースアップするだけの余裕は残っていた。

 だが、今回は痛みがなかなか消えず、38kmを越えたあたりから遅れはじめた。テレビ画面には、懸命に歯を食いしばって走る神野の姿が映し出されていた。

「なんとか(痛みが)なくならないかなと思っていたんですが、腹の真ん中が痛くてよくならなかった。後半、痛みが我慢できなくなってからは、粘るというよりゴールするのがやっとな感じで、タイムがかなり落ちて......。差し込みがなければ確実に2時間8分台は出ていたので、(8分台に)いけたのに、いけなかったという悔しさでいっぱいでした」

 結局、差し込みはゴールするまで治まらなかった。

 目標としていた2時間8分台には届かず、2時間10分18秒で18位に終わった。優勝したディクソン・チュンバ(ケニア)のタイムは2時間05分30秒、2位に入った設楽悠太は2時間06分11秒で16年ぶりに日本記録を更新した。

 また、ニュージーランド合宿でともに練習を積んだ井上大仁は、2時間06分54秒で5位。木滑良は2時間08分08秒で7位に入賞した。神野も差し込みがなければ木滑に近いタイムでゴールしていた可能性が高いだけに、なおさら悔しさが募ったに違いない。

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