ポルシェとプリウス。高橋尚子が神野大地に教えたマラソンの極意とは (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 その後もフォームと大腿四頭筋強化のトレーニングが続いた。

 神野自身は福岡国際マラソン後、新しい取り組みを始めた。それは、高橋尚子のアドバイスが非常に大きかったという。

「高橋さんに、ひとつはレイヤーでいい筋肉を作っているんだから、レイヤーの次の日にクロカンでジョグをすることで、鍛えた筋肉をクロカンで刺激を入れて"走りの筋肉"に変えた方がいいって言われたんです」

 神野は言われた通り、レイヤーを終えた翌日、クロカンを70分ほど走った。走り終わった後の感触は悪くなく、今後も継続していくという。

「もうひとつは、これは中野さんにも言われていたんですが、高橋さんの例えで言うと、僕は最初からポルシェのエンジンを全開にして走っている。それではもったいないから、30kmまでは省エネ走りを覚えて、プリウスで走るようにして、30km以降からポルシェでいこうと。

 それはわかっているんですが、じゃぁ、どうしたらいいのか。それを具体的に教えてもらったんです」 

 それはいったい、どういうものだったのだろうか。

「高橋さんが言うには、集団で練習する時、自分が一番強くなろうと思うんじゃなく、一番ラクに終わろうという意識で走る。そう思うことで自然とエネルギーを使わない走りが染みつくと教えてもらったんです。

 今思えば、ずっとマラソン練習をひとりでやっていたので、抑えていたつもりでもエネルギーを使っていたなって思います。福岡の映像を見ても自分だけ頑張っているなって感じですからね。そうした具体案をいただけてよかったなと思います」

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