【月報・青学陸上部】箱根V4の裏側。走る選手を見抜く恐るべき眼力 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun photo by Nikkansports/AFLO


 7区で区間新を出した林奎介(けいすけ/3年)もそのレースで自己ベストを出し、その調子を維持していたわけだが、この頃はまだ箱根出走が微妙だった。

 また、エースの2人については、田村和希(4年)はこのレースを走っていなかったし、下田裕太は29分14秒60で調子が上がらない感じだった。レース後、下田は自分の走りに納得いかず、めずらしく取材を切り上げたほどだ。

 橋詰大慧(たいせい/3年)、橋間貴弥(たかや/3年)、梶谷瑠哉(りゅうや/3年)らの主力も今ひとつの走りで、復調のキッカケを掴みたい主将の吉永竜聖(4年)も調子は悪くないものの結果が出ず、11月12日の世田谷ハーフでは67分台に終わるなど、箱根出走の可能性はほぼ潰(つい)えた状況になっていた。

 12月10日の箱根エントリー発表でも原監督の表情や言葉には昨年までの勢いと自信は感じられず、まだ選手の状態が上がってこないことが読み取れた。チーム状態がいいと表情に出るので、すぐにわかるのだが、この時点ではまだまだだったのだろう。

 だが、12月29日の区間エントリー発表の時は表情が晴れ晴れとして、饒舌になっていた。それはチーム状態がいい証左であり、実際、5区の竹石尚人(2年)をはじめ、チームの調子は今年一番ぐらいの状態に上がっていたという。

12月の1カ月間で仕上げてきたということだが、「特別なことは何もしていない。やるべきことをやっただけ」と原監督はいう。日々のジョグの質、量を上げて、ポイント練習をしっかりこなす。その後のケアに十分な時間をかける。スポーツモチベーションの佐藤基之トレーナーのサポートも効いた。そうした3連覇中に徹底したことを集中してやってきた。

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