箱根のスター、高卒、外国人。
ニューイヤー駅伝にみる日本長距離の今 (4ページ目)
一方で、旭化成とは逆に高卒ランナーを中心に戦っているのがトヨタ自動車九州だ。
旭化成時代に、バルセロナ五輪の男子マラソンで銀メダルを獲得した森下広一が監督を務めていることもあって、チーム構成は昔の旭化成と似ている。今井正人ら箱根駅伝で活躍した選手もいるが、日本人選手11人のうち、高卒の選手が8人。外国人選手のカレミ・ズクも豊川高出身だ。ここ2年のニューイヤー駅伝ではどちらも3位と涙を飲んでいるが、即戦力の大卒選手に頼って優勝を狙うのではなく、長期的な育成スタイルで強化を進めている。
大人気の学生駅伝と、世界に歯が立たないマラソン。実業団チームはその狭間で苦しんでいるように見える。実際に、設楽悠太が所属するHonda、井上大仁が所属するMHPS、神野大地が所属するコニカミノルタなど、駅伝の「日本一」を狙いながらも、マラソンで世界を目指すランナーを抱えているチームは少なくない。
大迫傑(Nike ORPJT)のようにプロとして勝負する方法もあるが、日本は実業団という独自の"受け皿"が浸透している。現状を考えると、「駅伝」と「マラソン」の両方で活躍できる選手が現れたチームが、日本陸上界にとっての希望の星になるだろう。
同じルーツを持ちながら、対照的な強化策をとる旭化成とトヨタ自動車九州は、どちらが"正解"なのか。その答えの一端が、元日のレースで示されるかもしれない。
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