ただひとり「世界レベル」の大迫傑。独自のメソッドで五輪メダルを狙う (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

 タイムは2時間7分19秒──。

 自己ベストを3分以上更新し、日本歴代5位となる記録。東京五輪代表を決めるMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)出場の権利を獲得し、国内では圧倒的な強さを見せつけた。

「今日は100%、自分の力を出せたと思います。(3位だったのは)1番、2番の選手が僕の100%を超えていただけなので、これから"自分の100%"をトレーニングでさらに広げたいなと思います」

「マラソンは個人競技」という考えに基づき、そこに他人と争うという概念はなく、常に自分との戦いに勝つという大迫の哲学がある。

 ナイキ・オレゴンプロジェクトのピート・ジュリアンコーチは、その哲学を支持している。レース後、大勢のファンにサインや写真対応をする大迫を見て、ピートコーチは笑顔で、こう言った。

「今日は天候に恵まれ、気温もいいなか、いい仕事をした。この結果はリスペクトできるものだ。でも、彼はまだ若く、伸びしろがある。まだまだ成長するよ」

 ボストン3位、福岡国際3位と続けば、次はてっぺんへの期待が膨らむ。大迫は東京五輪までは、1シーズンごとにひとつのレースに挑んでいくという。そうして、信頼するコーチの傍らで"100%の枠"をさらに広げていく。

 その先にメダルが見えてくる。

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