「いつまでも箱根じゃない」。神野大地、初マラソン直前インタビュー (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


――肉体が変わって、それがうまく走りに活かせている感覚はありますか。

「4、5、6月ぐらいは走りよりもフィジカルの練習がキツ過ぎて、うまく噛み合わない感じがあったんですけど、今はフィジカルで鍛えた筋肉を走りで使って、自分で動かせる筋肉、自分で動かせる足にしていくところまで、できています」

――いつぐらいからフィジカルと走りが噛み合ったのでしょう。

「7月終わりですね。7月中旬のホクレン(・ディスタンスチャレンジ2017)の時は昔の自分を出していたというか、ガムシャラさを前面に出して走っていたんですけど、その後、フィジカルがいき過ぎていたところからマラソン練習ができるようになって、両輪でグングン上がっていく感じになりました」

 神野は充実した表情で、そう言った。

 神野は不調な時間やスランプの期間が短い。早い復調を実現しているのが神野のデータノートだ。日々の練習内容を練習日誌に詳細に書き込み、パソコンには中野とのトレーニングで、どの場所にどのくらい筋肉痛が残っていたかなどのデータを保存している。調子が落ちた時は、そのノートを見て、振り返ることでよかった時のことを思い出し、もう一度作り直していくことが可能になるのだ。

「そのデータが僕の不安材料をなくしてくれるんです」

 幸い大会前までノートにお世話になることはあまりなかった。

 しかし、中野が唯一、懸念していたのがフィジカルトレーニングで鍛えられた肉体をどう走りに使いこなせるかということだった。

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