【東海大・駅伝戦記】日本インカレにみる「スーパー世代」2年生の明暗 (6ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text by Sato Shun photo by Nikkansports/AFLO

 松尾は満足そうな笑みを見せた。

 一方、關は29分23秒01で11位に終わった。汗にまみれ、こんなはずでは......という表情が浮かぶ。

「高地合宿をこなしてきて、自己ベストを狙ったんですが、うまく試合に合わせられなかった。物足りないですし、これが今の実力かなって思います」

 アメリカから帰国して4日後のレースとなれば、ベストコンディションではないのは確かだろう。關自身は「言い訳にしたくない」と言ったが、アメリカからの移動だけでも大変であるし、疲れは間違いなく残っている。何せ1カ月、合宿を継続してきたのだ。

「今回、高地でずっと合宿をするのは初めてだったので、それにどう体が反応していくのか。正直、まだわからないですが、アメリカに行ったのは3人で3人とも走れなければ、その影響が出ているなとわかりますが、自分だけが走れないとまた違う要因も考えないといけない。鬼塚と阪口の結果を見て、冷静に分析していきたいです」

 検証には時間を要するだろうが、ただこのまま調子が上がらないと出雲に向けてチームはもちろん、關自身にも不安の影を落とすことになる。しかも今回結果を出した松尾、さらに川端千都(かずと/4年)、三上嵩斗(しゅうと/3年)らが調子を上げている。關の調子いかんによっては、出雲出走の椅子を巡って競争がさらに激化する可能性が出てくる。

「チームは今、けっこう勢いがあるし、元気があるんで......。自分は今回の走りで出雲がわからなくなってきた。走るのが当たり前ではなく、危機感を持ってやっていきたいと思います」

 両角監督の關への信頼は揺るがないだろう。しかし、その期待に応えられるように、出雲までどのくらい挽回していけるか。そして、今回、走れなかったのは、いったいなぜだったのか。その正体を突き詰めていくことが必要になる。

 国内組の松尾が結果を出し、アメリカ組の關が力を発揮できなかった。明日(9月9日)、5000mにはアメリカ組の鬼塚と阪口が出場する。

「明日、ふたりが頑張って結果を出してくれることに期待したいですね」

 西出コーチは祈るようにそう言った。

(つづく)

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