【月報・青学陸上部】出雲駅伝エントリー発表。レースを走るのは誰か? (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 神林は、冷静な表情でレースを振り返った。

「今日は選考もありますが、自分の状態を確認するレースでした。直前まで合宿をやってきて、距離を走り込んできたなか、十分な調整ができていなかったんです。その状況でどれだけ自分が走れるか、わかればいいかなって思っていました。監督からは14分10秒を切れば合格と言われていたので、最低限の指示は守れたかなと思います」

 原晋監督が出した指示を守り、駅伝メンバーのライン上に生き残った。だが、神林にとっては同じ1年生の吉田に負けたことが引っ掛かっているようだ。

「吉田に負けたのはホント悔しいですね。どんなレースであっても彼についていきたいし、最後は差したい気持ちがあったので......。ただ、お互いにいい状態でここまで来ていますし、今回はどうしても勝たないといけないレースではなかったので、この結果はあまり気にせず、自分の状態をしっかりキープしていくことを考えていきたいです」

 チームはこの後、再び新潟・妙高高原での合宿を経て、部内でのタイムトライアルで出雲駅伝の出走メンバーがほぼ決まる。その後、9月末の世田谷記録会を走り、出雲駅伝の本番を迎えることになる。

「今回は自分の調子が上がって一度落としてきているんで、自分の力通りの結果ではないと思います。実際、タイムも順位も今ひとつですし、ラストスパートもまだまだでした。ただ、シーズンベストを出せたのはよかったですし、これから涼しい秋に入れば自己ベスト更新、状態が良ければ13分40秒台も見えてくるかなと思います。正直、ここまでは順調にきているので、あと駅伝、まずは出雲でいい結果を出したいです」

 神林は力強い声で、そう言った。夏合宿でのタフな練習が神林にそう言わせるだけの自信を身につけさせたようだ。

 一方、吉永は追試に失敗した悔しさを表情ににじませた。

「出雲の枠を争う学内選考の追試で1年生に負けてしまったので、順調にいけばこのまま彼らが走る結果になるでしょうね。昨年は調子が上がってくるのが3次合宿からと遅かったので出雲に間に合わず、全日本からになってしまったんです。でも、今年は前期こそ存在感を出せていなかったですが、夏合宿では下田(裕太・4年)と一緒に先頭に立って練習できていたので、何とか出雲から出たかったんですが......うーん、きついなぁ」

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