東海大の駅伝に大物1年生。今年も「ルーキー旋風」が吹き荒れるのか (6ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


「自分はそこにピークを合わせようと、あれこれ考えたりしないです。監督に言われたことをしっかりやっていきつつ、いつもの練習を普通にやっていくと自然と安定した走りができて結果が出るんです。基本的に自分は高校の時から大きな大会を外さないというか大崩れしないタイプ。出場した試合は入賞しているか、自己ベストに近いタイムでいつも走れていました」
 
 高校時代は、抜群の安定感で監督からの信頼も厚かったという。

「安定して走れることは、大事なことだと高校時代、監督からずっと言われていました。高校時代は練習以上に、挨拶をする、服をきちんとたたむなど生活面、人間性が大事だという指導だったんですが、それは大学も同じで大事だなって思っています。たまに疲れて服とかを適当に置いてしまうことがあるんですが、これでタイムが1秒落ちたら嫌だなって思ってすぐにたたみます(笑)」

 会話はテンポがよく、言葉からはポジティブな姿勢が見て取れる。

「そうですね。性格は明るく、うるさいタイプです。でも、人見知りが激しいので、それが嫌ですね。あと人前に出ると緊張で顔が赤くなるので、それも嫌です。趣味ですか? 特にないですね。でも、定番の映画は見に行きます。フリーの日はやることがないんで、何かするっていうと映画で『君の膵臓をたべたい』とか見に行きました。あと、サッカーが好きです。陸上をやっていなかったらサッカーをやりたいなって思っていたので、今もよく見ますし、できるようになりたいなって」

 この走力を生かしてサッカーをしていたら、ひょっとするとJリーグで活躍する選手になっていたのでは、と話しかけると「それは無理ですね」と苦笑したが、東海大では安定した走りで計算できる選手として、チームの大きな武器になるだろう。

「駅伝では自分の走りで勝てるようにしたいですし、勝ちたいですね。自分は"外さない"タイプで安定した走りはできますが、チームを優勝させるところまではもっていけていないんです。安定プラス、その上を目指してやっていきたい。まだ、ラストスパートも弱いので、もうひと踏ん張りして"勝つ"レースができればと思っています」

 駅伝では何が起こるかわからないが、こいつらには任せられる......塩澤と名取は、周囲にそう思わせるだけの力と雰囲気を持っている。

 出雲駅伝では塩澤が、箱根駅伝では名取が初優勝に導く走りを見せるのでは......。そんな期待が膨らむルーキーである。
(つづく)

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