東海大の駅伝に大物1年生。今年も「ルーキー旋風」が吹き荒れるのか (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 夏合宿の初日にはいきなり30kmを走った。高校時代には経験のない距離だが、長距離に対する不安はなかったのだろうか。

「最初、走った時は死ぬかと思いました(苦笑)。最終日には32kmの距離走があったんですけど、その時は1回目ほどきつくなかったです。次の菅平合宿では3日おきぐらいに30kmの距離走が入っていたんですが、最初、こんなにバンバン30kmを走ったら故障するんじゃないかなって思っていたんです。でも、走ってみると意外と大丈夫で。だんだん長距離に慣れてきたのか、今は苦にならなくなりました」

 3次白樺湖合宿のポイント練習では先輩たちに遅れることなくついていき、両角監督から「いいぞ」と声をかけられた。徐々に心肺機能をはじめ走る機能が戻りつつあり、自分なりの手応えも感じた。また、合宿中は他の選手からいい刺激を受け、東海大の選手の意識の高さを改めて感じることができたという。

「高校の時は監督に言われた練習をまずしっかりやる。練習の意味も一応考えてやっていました。でも、ここ(大学)はさらに自分で必要なことを考えて、積極的に走る距離を増やしたり、追加練習をしている人が多いです。今回の合宿でも春日(千速/ちはや)さん、川端(千都/かずと)さん、松尾(淳之介)さんはめっちゃ走っていましたから。チーム全体としても、もっとやろうという雰囲気がありますし、高校の時とは全然意識が違うなって思いました」

 先輩たちのそういう姿勢は後輩に受け継がれていくが、名取はその流れに必ずしも乗らない。追加練習もまだそこまで体が追いついていないと慎重であるし、ウエイトトレーニングも今はまだ必要がないという。自分の体や状態を客観視した上で必要なものをその時々に応じて取捨選択していく姿勢だ。

「そうですね。基本的に人に言われることは、本当に大切なこと以外はそのまま聞き流しているというか(笑)、自分に必要なことしか受け入れないタイプです。全体練習以外は自分で判断しているので、追加練習やウエイトも今はいいかなって思っています。まずは"走り"で頑張って、学年が上がってからやろうと。逆に体が硬いのでストレッチは多めにやっています」

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