2017.09.19

五輪でメダルを目指す神野大地の夏。
新フォームで70km走に挑む

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


「あー、きつい!!」

 水分を補給しながら神野が呻くが、表情にはまだ余裕が感じられる。最初の1山は80分で終わった。3分間のレストを挟んで、2山目に入る。

「疲労がたまってきた時、どう動かしていくのかが大事だから」

 中野が神野に言う。当然だが、最初の1山とはメニューが違う。

 中盤のCのトレーニングで、神野の体躯を支える足がプルプルと震える。「はぁ、はぁ」と息が荒くなり、耐えられずに思わずマットに手がついてしまう。

「まだ、早いっ!」

 中野の檄が飛ぶ。無言の神野は支える足に体の全神経を集中させ、手をつくのを必死に耐える。体をぶつけ合うことはないが、まるで相撲のぶつかり稽古のようだ。神野は歯を食いしばり、負けてなるものかと限界ギリギリの体を必死に動かした。

 2山目は75分間で終わった。神野はすべてのパワーを放出したかのような疲れた表情で水を飲む。そのままスッと立ち、尻からハムストリングの周辺を触り、鏡で確認している。

「春から比べると筋肉がついたね。特に尻は丸みが出てきた。1年前とか筋肉のない状態でよく走っていたよなぁ」

 中野がそういって苦笑した。

「ホント、どこで走っていたんでしょうね(笑)。前は足を動かして走っていたけど、今は筋肉で足をもっていっている感じがします」

 神野も違いを感じている。もともと体が細く、尻から足にかけて"マッチ棒"のようだったが、今は尻から太ももにかけて膨らみが大きくなり、"綿棒"になった感じだ。春先からいったいどのくらいの筋肉が増えたのだろうか。