サニブラウンも「バトン練習したい」。リレー銅メダルが繋ぐ東京への夢 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Nakamura Hiroyuki/PICSPORT

 ボルトのラストレースが途中棄権という、無念なアクシデントのなかでの銅メダル獲得だったかもしれないが、それは日本チームが、2大会連続で100m決勝進出を果たしている蘇炳添が3走を務めた中国や、アンカーにクリストフ・ルメートルを配したフランスなどを抑えて4位を維持していたからこそだ。

「予選の走りも悪くなかったですが、それよりいい走りができた。今回はリレーのために来たので、そこで力を発揮して何とかメダルを獲ろうと思った」と桐生は言う。飯塚も「去年のリオは予選から決勝までバトンパスがすごくよかったけれど、今回の予選のバトンは僕たちの中ではよくなかった。それでも何とか決勝へ進めたので力はついていると思い、決勝へ向けての自信になった」と満足した表情で話した。

「リオのメダルは期待されるなかで獲ったメダルでしたが、今回はさらに期待されたメダルで、取れなかったらみなさんに許してもらえなさそうなので、正直ホッとしました」と、土江コーチは苦笑する。日本の短距離界にとって最も意味があるは、リオからふたりも代わっているオーダーでメダルを獲れたことだろう。新人の多田だけではなく、2009年のベルリン世界陸上でアンカーとして4位になって以来、日本代表チームの常連になっている藤光がやっと銅メダルを手にできたことも、日本の層の厚さがもたらした結果である。

「五輪では00年シドニー大会から5大会連続で決勝に進んでいる日本は今、決勝進出の常連になっていると思います。だから今度はメダルの常連になりたいというのがある。その点で、リオ五輪で獲って今回で獲ってと、理想になりつつあるのかなと思います。今回もメンバーには、メダリストとしてのプライドを持って戦おうと話していたのでその第一歩を踏み出せました。まだ山縣亮太(セイコー)も残っているし、サニブラウンも残っている。私たち自身がチームを作っていくというのを楽しく考えられるような感じになっています」

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