メダリストをゴボウ抜き。2冠のサニブラウンが積み上げた速さの秘密 (5ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之/PICSPORT●写真 photo by Nakamura Hiroyuki/PICSPORT

 サニブラウンは、過去の大会からも多くを学んでいる。

「15年の世界選手権で200mを2本走って一番わかったのは、前半から行かないで差をつけられると負けるということ。今回の100mの走りを200mに取り込めるようにして、前半で置いていかれなければ、後半もしっかり食らいつけるのかなと思います」

「100mを10秒0台で3本走ったダメージがある中での20秒32は、まずまずの結果」というサニブラウン。

 一方で、「200mも前半だけの勝負という走りしかできなかったのは、練習不足が出たレースだった」とも振り返る。

 8月のロンドン世界選手権に向けては、「あわよくば2種目で決勝進出」という目標が明確になった。「レースで緊張するというのは仕方ないし、勝ちにこだわるのも大事だといえば大事だけど、一番大切なのはレースを楽しむという気持ちを忘れてはいけないということ。その根本を忘れなければ、そこまで緊張もしないかなと思います」と言うように、シニアに上がったばかりで、世界のトップ選手に挑戦するという楽しみを持つ立場であるからこそ、どんな結果を生み出すかわからない。

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