復調した才媛ランナー・鈴木亜由子「東京五輪のために今確かめたい」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田純●写真 photo by Tsukida Jun

最後のスパートで松田瑞生に抜かれ、苦しそうな表情で走り切った鈴木亜由子最後のスパートで松田瑞生に抜かれ、苦しそうな表情で走り切った鈴木亜由子

 8月の世界選手権ロンドン大会を前に、大きな大会としては最後となる日本陸上選手権大会で、鈴木亜由子(日本郵政グループ)は1万mに出場した。

何度も仕掛けて数mの差をつけながらも離しきることができず、最後はスプリント力のある松田瑞生(ダイハツ)の勝ちパターンに持ち込まれて2秒24差で敗れた。それでも鈴木は、参加標準突破者あり、今大会2位に入ったことで、世界選手権代表を確実なものにしている。

しかし、このレースを振り返り自身の力不足を口にした。

「練習もできていて、調子も上がってきていたから不安もなく、展開はレースの中で判断しようと思っていました。プランとしては自分が苦しいところで頑張って相手を引き離すというものでしたが、どれも中途半端だった。相手もしっかりマークしてきていたので、ちょっと弱気になったというか......。もう少し気持ちを強くもって引き離すことができればよかったと思います」

 昨年は31分18秒台を2度マーク。6月に出した自己ベストの31分18秒16は世界ランキング21位で、各国最大3名までの五輪ランキングでは12位になる記録だった。だが、どこまで勝負できるかという思いで臨んだリオデジャネイロ五輪は、故障のために1万mは棄権。5000mには何とか間に合わせて出場したが、予選第2組12位で敗退という結果に終わった。だからこそ、この日本選手権は、再び世界で戦うためのステップという思いがあった。

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