井上大仁の妄想力。「東京五輪のマラソンで勝つイメージもできている」 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

 井上の妄想は、2020年の東京五輪にまで及ぶ。酷暑の中で行なわれるであろうレースで生き残っている姿や、2時間5分台の日本記録を出すところまでイメージしていると明るく笑う。それを実現させるためにも、8月の世界選手権では結果を残して先につなげたいところだ。初めて戦う世界大会に向けて、今の自分に必要なことをこう分析する。

「実力に関しては数カ月で劇的に変わることはないし、自分はまだまだ未熟ですが、これまでに積み上げてきたものを準備の中で、さらに磨いていければと思います。世界陸上はペースメーカーがいないレースですから、大きなペース変化は絶対にあるので、その時に瞬時に対応できるような動き作りをしたいですね」

 チームの練習ではペースを極端に上げ下げする変化走をやることはないが、そこはジョグの中でも、ペースを変える時に初速をパッと切り換えることで対応できるという。

「理想は、ゆっくり歩いている時も、1km2分40秒で走っている時も変わらないような動きを作ることです。重心移動をうまく捉える体の使い方というか、最後のスパートでもノーモーションからいきなり仕掛けられるような動きができるようになりたいですね。

 本番では、大きな仕掛けがある前に消えてしまわないよう、30kmくらいまでは先頭集団に残っていたい。そこからの変化に自分がどう対応できるかを間近で感じたいと思います。せっかく出るなら大きなものを掴みたいので、自分が今できる限りのことをやって、欲を言えばメダル争いをするようなレースをしたいです」

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