大迫傑の異例なボストンマラソン参戦は、日本陸上界の常識を崩せるか

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • photo by AFLO

 それはあまりにも突然な「マラソン参戦宣言」だった。大迫傑(ナイキ・オレゴンプロジェクト)は、2月21日に自身のツイッターで「大迫、ボストンマラソン走るってよ。」とつぶやいたのだ。そのツイートだけでスポーツ紙の記事になり、陸上ファンは騒然となった。

昨年のリオ五輪に出場した大迫昨年のリオ五輪に出場した大迫 大迫といえば、3000m(7分40秒09)と5000m(13分08秒40)で日本記録を保持する日本長距離界のエースだ。早大時代から「世界」を目指し、箱根駅伝では1区で2度の区間賞。2014年の大学卒業後は拠点を米国に移して、アルベルト・サラザール率いるナイキ・オレゴンプロジェクトに加入した。1年で日清食品グループを退社すると、2年前から「プロ選手」として活動している。

 昨季は、日本選手権の1万mと5000mで圧倒的なスパートを見せて2冠を達成し、リオ五輪では1万mで17位(27分51秒94)に入った。そして、今年2月5日には丸亀国際ハーフマラソンに出場した。大学1年の上尾ハーフ(U-20日本最高記録の1時間1分47秒)以来、6年3カ月ぶりとなるハーフで1時間1分13秒の自己ベストをマークするも、終盤にペースダウンして神野大地(コニカミノルタ)に9秒遅れた。

 トラックのスピードは確実に進化している大迫だが、20km以上の距離に関しては、さほど成長していないように感じた。この時点では今夏のロンドン世界陸上選手権はトラック種目で狙う意向を示しており、「リオ五輪で達成できなかった8位以内を目指したい」と話している。

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