【箱根駅伝】層の厚さでは随一の東洋大。注目の5区を走るのは誰か? (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 駒大に先手を取られて突っ走られるのを防ぐためには、1区、2区、3区に対応できる選手を配置し、肩を並べて走れるくらいにしなければいけない。さらに山上りの5区には日本体育大学という強敵がいる。前回、東洋大は1位でタスキを受けながらも、日体大の服部翔大に1分49秒差を詰められた上、逆に2分39秒差をつけられたのだ。

 前回の箱根について、酒井俊幸監督は「本当は2区で抜け出すつもりだったけど、強い向かい風という条件もあって思い通りにはいかなかった。それにしても、5区では抜かれてからの10㎞弱で、2分30秒も開けられるとは思っていなかった」と振り返る。もし1分以内の差で抑えていれば、復路でも勝負できただろう。

 その轍(てつ)を踏まないためには、日体大の服部が1時間18分台で走るとすれば、最低でも1時間20分台、あわよくば1時間19分台で走れる選手を作らなければいけないという。さらには6区についても、前回区間4位の59分16秒で走った市川孝徳が卒業し、新たに59分台で走れる選手を見つけ出す必要がある。

 そんな中、酒井監督は12月中旬の会見で、「5区は特殊区間とはいえ、脚力も必要。強風などの条件がなければ主力を投入することも考えたい」と発言した。

 その真意はどこにあるのか。1時間20分で上れる選手がいなかったということか。

 それを受けて、エースの設楽啓太は「上りは苦手ではない」と語っている。だがエースの5区起用は大きな賭けでもある。日体大は前回、その1年前に1区を快走した服部を使って成功した。一方、駒大は平地の走力があるエース候補だった2年の村山謙太を起用したが、区間8位と機能しなかった。これという候補がいない大学にとって5区は、走ってみなければわからないギャンブル区間でもあるのだ。

 駒大が1区中村で飛び出し、2区にひとりで走らせても強い村山謙太(3年)を起用してくるようなら、そのまま独走してしまう可能性もある。そうなれば東洋大としても、駒大と競り合って逃げるような形にして日体大や早大との差を開き、5区でそのまま逃げきるか、追いつかれても秒差で抑えようとする方が得策とも思える。

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