【続・東京マラソンへの道】中島彩「54歳の母がマラソン初チャレンジ!」 (2ページ目)

  • 中島彩●文・写真 text & photo by Nakajima Aya

 まぁ、身内以外から応援されたことで、気合いが入ったのか、うらやましがられたことで貴重なチャンスと分かったのか、とにかく母の中でスイッチが入りました。その結果、2日に1回、母は休まず走るようになったのです。ランナー仲間の応援で頑張る気になってくれた母。ランナー仲間の支えは、フルマラソン完走に向けてかけがえのないものだなと、改めて思いました。

☆主婦に教えられたフルマラソンの攻略法!?

 ようやく走り始めた母ですが、練習を始めた当初の話を聞いてみると、走った後は疲れてストレッチもしないまま爆睡していたそうです。それぐらい走ることは、54歳の母にとってハードなものだったのです。仕事を終えて夕方から60分ほど全力で走ると、夕食も作れない、洗濯物も部屋に取り込めない、という毎日とのこと。

 そんな状況を見かねたある日、私は、「そんなに無理して走らなくてもいいのに......」と、電話で母につぶやきました。すると、母はその後、走った後も家事ができるぐらい動けるようになったと言うのです! いったい何があったの? さっそく母に聞いてみると、「無理しないようにした」と言うのです。つまり、それまでは60分間全力で走っていたのを、力を残すように練習スタイルを変えたんだそうです。

 それを聞いた私は、「たしかにこれはフルマラソンを完走する上で必要なことだな」と思いました。というのも、フルマラソン初心者が完走するためには、ざっと5~6時間は見ておかなければなりません(もちろん、個人差はありますが)。よって、走っているときは体力のすべてを使うのではなく、常に余裕を持って走ることが大切なんだと思います。走った後で家事ができるぐらいの頑張り方でいい、という気持ちの余裕を持ったからこそ、見つけられた練習スタイルなのかもしれません。主婦に教えられました(笑)。

 それから母は、長時間走る練習にも取り組みました。フルマラソンを走る前に一度、長い距離を走る練習をしておくと、体力的にも気持ち的にも余裕が生まれるからです。長時間走ったときの疲れ具合を知ると、「フルマラソンとはこんな感じなのか」と、現実味が増してきます。私もフルマラソンに挑戦する前は、5時間走や30キロ走をやって身体を慣れさせますよ。またこのとき、レース中に飲むゼリーや水の飲み方も練習しておくと、一石二鳥なんです。

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