2013.02.09

【陸上】男子マラソンは、なぜ市民ランナー川内優輝に勝てないのか

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Nikkan sports

別府大分マラソンでは大会新記録および自己新記録を出した川内優輝 2月3日の別府大分毎日マラソン。世界選手権代表即内定の2時間07分台にこそ届かなかったものの、川内優輝(埼玉県庁)はその力が確かなものであることを、強烈にアピールした。

 他の選考レースとは違い、外国人招待選手の自己記録が2時間10分台と、日本勢に優勝のチャンスが十分あった大会。そのレースを面白くしたのが、ロンドン五輪6位の中本健太郎(安川電機)だった。ペースの変動が大きいながらも、予定の5km15分10秒より若干遅れて進んだレース。28km手前で先頭集団が思うように引っ張ってくれないと判断した中本は迷わず前に出た。

 それに反応したのが川内だった。そこから二人でペースアップして一騎討ちになると、お互いにスパートをかけ合う積極的な戦いが始まった。ともに「日本人同士で牽制し合ってタイムを落とすようなレースはしたくない」という思いがあったからだ。

 その熱い戦いの決着は残り1.6kmのところでついた。

「11年の世界選手権に出たとき、ケニア勢やエチオピア勢が給水を利用してスパートをしていた。自分もそういうことをやってみたいと思った」と語っていた川内はこの大会でそれを実践。給水を取るタイミングに合わせて一気にスパートをかけると、2時間08分15秒で優勝した。突き放された中本も2時間08分35秒でゴールと、久々に内容のあるレースを演じたのだ。

 今回の優勝記録はあの瀬古利彦の記録2分8秒27を抜き、88年ソウル五輪と92年バルセロナ五輪で4位になった中山竹通と並ぶ日本歴代16位だった。日本陸連の酒井勝充強化副委員長も「私たちの常識では判断できない選手。マラソンは気持ちで走ることをみせてくれた」と高く評価し、宗猛長距離・マラソン部長も「久々に見応えのあるレース。日本男子マラソンもまだまだやれると感じることができた」と明るい表情を見せた。