37歳でも「年々テニスはよくなっていると確信」。国枝慎吾が世界1位を維持できる秘訣 (4ページ目)

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by KCS/AFLO

 そして、国枝の母国である日本で開催されるパラリンピックで初めてプレーすることに関して、今までに経験したことがないような複雑な思いが心の中にある。

「やっぱり自国ということで、プレッシャーを感じるかもしれません。ただ、もしかしたら、普段のパラリンピック以上に楽しくなるかもしれない。ホームのパラリンピックは、僕自身も初めての経験ですので、どんな緊張、どんな気持ちになるのか、怖くもあり楽しみでもあり、両方ですかね」

 これまで国枝は、パラリンピックで、2004年アテネのダブルス、2008年北京と2012年ロンドンではシングルス、合計3個の金メダルを獲得してきた。果たして、8月24日に開幕する東京パラリンピック(車いすテニス競技は8月27日~9月4日)では、何色のメダルを獲得できるのか大いに注目される。ただ、メダル争いに絡むことが予想される強敵も多く、全仏オープンで優勝したヒューイットをはじめ、グスタボ・フェルナンデス(2位、アルゼンチン、27歳)、ヨアキム・ジェラード(4位、ベルギー、32歳)、ゴードン・リード(5位、イギリス、29歳)と、誰が表彰台の真ん中に立ってもおかしくない。

「いやぁ、東京では置かれている状況として、正直金メダルを取るには厳しい状況になったかなとは思いますね」

 こう吐露する国枝ではあるが、もちろんあきらめているわけではない。

「年々自分のテニスはよくなっていると確信している。37歳になっても、40歳になっても、今がベストだよと言えるように努力を怠らずにやっていきたい」

 自分が進化し続けていけるという信念、長年テニスに注ぎ続けて来た情熱、そして、変わることのない車いすテニスへの愛情、これらが結集した国枝の集大成が、東京で最高の結果に結びつくことを願いたい。

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