2020.07.06

ゴールボール・浦田理恵が
代表落ちから新境地「自分を試すチャンス」

  • 星野恭子●文 text by Hoshino Kyoko
  • 吉村もと●写真 photo by Yoshimura Moto

東京五輪&パラリンピック
注目アスリート「覚醒の時」
第34回 ゴールボール:浦田理恵
ジャパンパラゴールボール競技大会(2019年)

 アスリートの「覚醒の時」――。

 それはアスリート本人でも明確には認識できないものかもしれない。

 ただ、その選手に注目し、取材してきた者だからこそ「この時、持っている才能が大きく花開いた」と言える試合や場面に遭遇することがある。

 東京五輪、そしてパラリンピックでの活躍が期待されるアスリートたちにとって、そのタイミングは果たしていつだったのか……。筆者が思う「その時」を紹介していく――。

ゴールボール日本代表から一度は外れたものの、返り咲いた浦田理恵 アスリートにとって、長年かけて確立させた「自分のスタイル」を変えることは大きな勇気がいる。だが、世界制覇経験もあるベテランのゴールボール選手、浦田理恵(総合メディカル)はあえて挑んだ。その成果が垣間見えたのが昨年9月、千葉市で行なわれた国際大会、ジャパンパラ競技大会だった。

 ゴールボールは視覚に障がいのある選手がアイシェード(目隠し)を着け、1チーム3人で行なう球技で、浦田は2006年の代表入り以来、3人の中心で攻守の要を担うセンターとして活躍してきた。2008年の北京大会から3つのパラリンピックに連続出場し、2012年ロンドン大会では金メダル獲得にも貢献している。

 ジャパンパラ大会は日本代表の強化を目的に海外強豪国を招いて行われる大会で、昨年は東京パラの会場、幕張メッセでのテスト大会も兼ねていた。東京パラ出場権を獲得済みの中国、ブラジル、アメリカが招かれ、前哨戦としても注目され、日本の選手にとっては東京パラ代表選考にも関わる重要な大会でもあった。

 浦田も3試合にセンターとして起用されたが、実はこの出場は「思いがけず」実現したものだった。日本ゴールボール協会はジャパンパラ代表選手を4月と5月の欧州遠征によって選考するとしていたが、浦田はこの遠征で思うような結果を残せず、一度は代表から漏れた。ところが、大会直前に中国が出場を辞退したため、代わりに日本がBチームを急造することになり、浦田は出場機会を得たのだ。