絶対王者として東京へ。佐藤友祈が世界パラ陸上400mで金メダル (2ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 吉村もと●写真 photo by Yoshimura Moto

 この勝利で、来年の東京パラリンピックには、「世界王者」として出場することになった。だが、佐藤はあくまでも、「チャレンジャー」の姿勢を崩さない。

「世界選手権のタイトルという意味では自信になるが、パラリンピックのタイトルという意味では、まだマーティン選手が持っているまま。東京パラではそこをしっかり奪いに行くチャレンジャーとして挑みたい」と意気込む。

 2016年リオパラリンピック金メダリストのレイモンド・マーティン(アメリカ)は、この日のレースでは3位。佐藤は3秒ほど差をつけたが、「油断せず、しっかり調整して東京パラでも勝ち切りたい」とその実力を警戒する。

 佐藤は21歳の時に発症した脊髄の病気により胸から下がまひし、両足と左手が動かなくなった。車いす生活となった失意の中、テレビで映し出された12年ロンドンパラリンピックで躍動するパラアスリートの姿に希望を見出した。

 本格的に車いす陸上を始めた佐藤は2015年、世界選手権(カタール・ドーハ)代表に初選出され、400mで金、1500mで銅メダルと華々しく国際戦デビューを飾り注目を集めた。当時、T52クラスの絶対王者として君臨していたのがマーティンだったが、ドーハ大会には出場していなかった。

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