パラカヌー瀬立モニカが世界で躍進「今、成長スピードは自分が世界一」 (3ページ目)

  • 斎藤寿子●取材・文 text by Saito Hisako
  • 越智貴雄●写真 photo by Ochi Takao

 そして、一念発起しての厳しいトレーニングが始まった。その過酷さは年々増し、今夏は「ハンガリーに飛び立つ前に、天に飛び立ってしまうのではないかと思うくらい練習をしてきました」と瀬立。毎年、「今が最強」と思い、いつも過去を振り返ると「甘かった」と思う。この3年間は、その繰り返しだったと言い、だからこそ「毎年ステップアップしていることを実感できた」と語る。

 カヌー競技では、天候などによって条件が異なるため、"世界記録"という概念はない。そのため、タイムでは一概に良し悪しは言えないが、トップとの差を比較すれば、リオ以降、瀬立がいかに一つずつ階段を上ってきたかがわかる。

16年9月リオデジャネイロパラリンピック決勝 1分09秒193(トップとの差+10秒433)
17年8月世界選手権・決勝 1分5秒010(+7秒628)
18年8月世界選手権・決勝 1分00秒675(+5秒010)
19年8月世界選手権・予選 58秒93(+2秒94)

 今大会では、3年前に10秒以上も離され、全く歯が立たなかったジャネットを抑え、いよいよ頂点が見え始めた。瀬立本人も「今、伸びは自分が世界一」と今後の伸びしろに自信を持つ。

 飛ぶ鳥落とす勢いの瀬立モニカ。今大会で世界の彼女への印象も、そして彼女自身が見始めた景色も変わったに違いない。

「5位ということは、もう次はメダルしかない」

 東京で表彰台に上がる瀬立の姿が、ついに現実味を帯びてきた。

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