ゴールボールの若きエース金子和也。様々な思いを込め一球入魂を誓う (4ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

 速いボールは強力な武器になる。守備陣の反応が遅れれば、それだけ得点チャンスが増す。さらに、球質にもこだわり、守備陣に「重い」「痛い」と感じさせる威力のあるボールを投げようとフォーム改善やパワーアップにも努めている。

 精度も重要だ。どんなに速く威力のあるボールでも、守備陣の正面に投げれば簡単にキャッチされてしまう。選手間やサイドライン際など守備の壁の薄いところに正確に投げ込まねばならない。視覚で位置をとらえられない分、角度やタイミングなどベストな感覚を体に覚えこませようと反復練習に励む毎日だ。

 ゴールボールを始めて以来、「人が変わった」と金子は明かす。くすぶっていた毎日に光が差し、体も心も元気になり、「こうしたい」「これがやりたい」と主体性も戻った。だから、発掘イベントに連れ出してくれた母やゴールボールの楽しさを教えてくれた仲間たちには、「感謝しかない。結果で恩返ししたい」と、頑張るモチベーションになっている。

「2020年には僕、ちょうど20歳になるんです。20年間生きた証として、東京パラリンピックで活躍したい。今はそこしか見えていません」

 強い気持ちを胸に記念の年を自ら彩るため、今はただ、「一球入魂」を繰り返す。

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